難治性胸水の診断に難渋したTAFRO症候群の1例

80歳男性。主訴は胸水貯留。1年半前から労作時息切れ, 下腿浮腫を認め, 完全房室ブロックに伴う心不全と当院循環器内科でペースメーカー植込み等を施行された。しかし胸水貯留を繰り返すため当科に紹介入院精査となった。全身性浮腫, CT上は胸腹水貯留と縦隔リンパ節の腫大, 採血では汎血球減少とCRPの上昇を認めた。TAFRO症候群等を疑い精査を開始したが, 呼吸状態が悪化したため, 第6病日にICU入室, 人工呼吸開始となった。確定診断前ではあったがステロイドパルスを施行したところ, 胸水減少および呼吸状態の改善がみられた。第20病日に人工呼吸器を離脱し, 第24病日ICU退室となった。本症例は難治...

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Published in日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 41; no. 4; pp. 434 - 437
Main Authors 塩村, 美帆, 竹本, 正明, 宮崎, 真奈美, 広海, 亮, 浅賀, 知也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本救急医学会関東地方会 28.12.2020
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Summary:80歳男性。主訴は胸水貯留。1年半前から労作時息切れ, 下腿浮腫を認め, 完全房室ブロックに伴う心不全と当院循環器内科でペースメーカー植込み等を施行された。しかし胸水貯留を繰り返すため当科に紹介入院精査となった。全身性浮腫, CT上は胸腹水貯留と縦隔リンパ節の腫大, 採血では汎血球減少とCRPの上昇を認めた。TAFRO症候群等を疑い精査を開始したが, 呼吸状態が悪化したため, 第6病日にICU入室, 人工呼吸開始となった。確定診断前ではあったがステロイドパルスを施行したところ, 胸水減少および呼吸状態の改善がみられた。第20病日に人工呼吸器を離脱し, 第24病日ICU退室となった。本症例は難治性胸水とリンパ節腫大, 血球減少よりTAFRO症候群を疑い, ステロイドによる治療を開始して改善が得られた。難治性胸腹水にリンパ節腫大, 血球減少を認めた場合は上記疾患も念頭に置き, 診断された際にはステロイドによる治療を検討すべきと考えた。
ISSN:0287-301X
2434-2580
DOI:10.24697/jaamkanto.41.4_434