病院前蘇生的開胸術の適応と効果

病院前蘇生的開胸術 (prehospital RT ; pRT) 施行例の評価を後方視的に行った.  対象と方法 : 2012年~2018年にpRTを施行した119例に対して, pRT決断時状態と入院後経過, 予後の調査を行った.  結果 : 119例中7例が生存退院, うち鈍的外傷3例を含む5例がCPC1-2であった. pRT決断時において, 医師接触後に頸動脈触知不能となった (Neck Pulse Absence after physician’s contact ; NPA) 群 (n=21), PEAで医師が接触した (PEA) 群 (n=31), 心静止群 (n=67) の3群間比...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本外傷学会雑誌 Vol. 35; no. 3; pp. 219 - 226
Main Authors 益子, 一樹, 松本, 尚, 安松, 比呂志, 上田, 太一朗, 山本, 真梨子, 岡田, 一宏, 本村, 友一, 齋藤, 伸行, 八木, 貴典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 2021
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:病院前蘇生的開胸術 (prehospital RT ; pRT) 施行例の評価を後方視的に行った.  対象と方法 : 2012年~2018年にpRTを施行した119例に対して, pRT決断時状態と入院後経過, 予後の調査を行った.  結果 : 119例中7例が生存退院, うち鈍的外傷3例を含む5例がCPC1-2であった. pRT決断時において, 医師接触後に頸動脈触知不能となった (Neck Pulse Absence after physician’s contact ; NPA) 群 (n=21), PEAで医師が接触した (PEA) 群 (n=31), 心静止群 (n=67) の3群間比較においては, 24時間生存, 生存退院, 退院時CPC1-2 で統計学的有意差を認め, 多重比較においてはNPA-PEA群間 (p=0.03), NPA-Asys群間 (p<0.001) で生存退院に有意差を認めた.  結論 : 鈍的外傷が圧倒的に多い母集団においてもpRTの有効例が存在した. NPAがpRT決断の良い適応である可能性が示されたが, さらなる追加検討が必要である.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.35.3_04