敗血症性ショックを呈した胸腔内ガス壊疽の1例

症例は, 87歳男性。突然の呼吸困難, SpO2低下を呈し救急搬送された。血圧は保たれていたが, SpO2は15L酸素投与で90%と低下していた。胸部CT画像で右胸腔に大量の胸水とガス貯留を認め, 縦隔は左側へ圧排されていた。CT帰室後に血圧が低下したため緊張性気胸を考慮し右胸腔ドレナージを施行したところ, 悪臭の強い膿液が高圧で噴出した。一旦血圧は上昇するも, 再度の血圧低下と意識状態の悪化を認め, 膿胸, 敗血症性ショックの診断でメロペネム, クリンダマイシンを投与し入院とした。入院後に胸水培養より嫌気性菌でBacteroides属菌, Peptostreptococcus 属菌が検出され...

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Published in日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 41; no. 4; pp. 462 - 465
Main Authors 塩地, 祐貴, 伊藤, 敏孝, 杉浦, 潤, 金澤, 将史, 杉村, 真美子, 中野, 貴明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本救急医学会関東地方会 28.12.2020
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Summary:症例は, 87歳男性。突然の呼吸困難, SpO2低下を呈し救急搬送された。血圧は保たれていたが, SpO2は15L酸素投与で90%と低下していた。胸部CT画像で右胸腔に大量の胸水とガス貯留を認め, 縦隔は左側へ圧排されていた。CT帰室後に血圧が低下したため緊張性気胸を考慮し右胸腔ドレナージを施行したところ, 悪臭の強い膿液が高圧で噴出した。一旦血圧は上昇するも, 再度の血圧低下と意識状態の悪化を認め, 膿胸, 敗血症性ショックの診断でメロペネム, クリンダマイシンを投与し入院とした。入院後に胸水培養より嫌気性菌でBacteroides属菌, Peptostreptococcus 属菌が検出された。齲歯, 歯周炎からの感染と考え抗菌薬投与を継続し, 症状改善して115日目に施設転院となった。本症例は嫌気性菌よるガス産生が引き起こした亜急性の閉塞性ショックと敗血症性ショックを合併した症例であった。このような病態では, 初療より嫌気性菌に対応した治療を施行していく必要があると考えられる。
ISSN:0287-301X
2434-2580
DOI:10.24697/jaamkanto.41.4_462