ウェアラブルスピーカーを用いた耳鳴音響療法の検討

要旨: 難聴を伴わない耳鳴患者に対する音響療法では sound generator (SG) の導入や, 自然環境音の呈示などが用いられている。しかし, SG 導入における装用感, コストの問題, 自然環境音を利用する際の患者個別の住環境の問題などから導入に至らないケースが存在する。我々は首掛け型ウェアラブルスピーカーより自然環境音を提示する音響療法によってそれらの問題に対応できないかを検討した。自覚的難聴を伴わない耳鳴患者5名にウェアラブルスピーカーを3カ月間貸与し, 評価を行った。4例で耳鳴が気になる時間帯に有効に使用することができていた。全例で据え置き型の音響機器を用いるよりも優れている...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 67; no. 6; pp. 542 - 547
Main Authors 小林, 孝光, 長富, 大祐, 安松, 隆治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 28.12.2024
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:要旨: 難聴を伴わない耳鳴患者に対する音響療法では sound generator (SG) の導入や, 自然環境音の呈示などが用いられている。しかし, SG 導入における装用感, コストの問題, 自然環境音を利用する際の患者個別の住環境の問題などから導入に至らないケースが存在する。我々は首掛け型ウェアラブルスピーカーより自然環境音を提示する音響療法によってそれらの問題に対応できないかを検討した。自覚的難聴を伴わない耳鳴患者5名にウェアラブルスピーカーを3カ月間貸与し, 評価を行った。4例で耳鳴が気になる時間帯に有効に使用することができていた。全例で据え置き型の音響機器を用いるよりも優れているとの回答があり, おおむね良好な結果が得られた。一方で Tinnitus Handicap Inventory (THI) は2例のみ改善し, 不安, 抑うつに関する質問紙の結果は明確な改善の傾向がみられなかったことから, 耳鳴への順応には教育的カウンセリングといった心理的な介入が必要であることが考えられた。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.67.542