オートバイ事故による外傷性気管支損傷の1例
症例は40歳代男性。オートバイ事故により受傷した。CT画像より胸椎脱臼骨折 (Th4/5), 胸髄損傷, 弓部大動脈損傷, 右血気胸を主とする多発外傷と診断した。右血気胸に対し胸腔ドレーンを留置した。持続性のエアリークが認められたが, 呼吸は安定していたため, 胸椎固定術を予定した。しかし, 気管挿管し, 腹臥位にしたところ, 換気を維持できなくなった。気管支鏡検査で右中間幹の中葉枝・下葉枝分岐部に1cm程度の気管支裂傷が明らかになり, 呼吸管理困難なため手術中止となった。集中治療室で保存的治療を行い良好な結果を得たが, 経過中に膿胸となり洗浄ドレナージ術を要した。気管支損傷が小裂傷であれば,...
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Published in | 日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 41; no. 2; pp. 277 - 280 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本救急医学会関東地方会
31.03.2020
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Subjects | |
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ISSN | 0287-301X 2434-2580 |
DOI | 10.24697/jaamkanto.41.2_277 |
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Summary: | 症例は40歳代男性。オートバイ事故により受傷した。CT画像より胸椎脱臼骨折 (Th4/5), 胸髄損傷, 弓部大動脈損傷, 右血気胸を主とする多発外傷と診断した。右血気胸に対し胸腔ドレーンを留置した。持続性のエアリークが認められたが, 呼吸は安定していたため, 胸椎固定術を予定した。しかし, 気管挿管し, 腹臥位にしたところ, 換気を維持できなくなった。気管支鏡検査で右中間幹の中葉枝・下葉枝分岐部に1cm程度の気管支裂傷が明らかになり, 呼吸管理困難なため手術中止となった。集中治療室で保存的治療を行い良好な結果を得たが, 経過中に膿胸となり洗浄ドレナージ術を要した。気管支損傷が小裂傷であれば, 人工呼吸器による管理下であっても保存的に治療可能である。一方で膿胸に移行するリスクもあり, 保存的治療を選択するときには, そのリスクも考慮すべきである。 |
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ISSN: | 0287-301X 2434-2580 |
DOI: | 10.24697/jaamkanto.41.2_277 |