外傷性メッケル憩室穿孔の1例

メッケル憩室は消化管の先天的奇形のひとつで多くは無症状だが, まれに出血や炎症が生じる. 我々は外傷性メッケル憩室穿孔というまれな症例を経験した. 症例は52歳男性, バイク乗車中に受傷し, 左下肢・下腹部に強い自発痛を認めた. バイタルサインは安定, 体表所見は右前胸部, 左側腹部, 手指に打撲痕と挫傷, 左大腿部腫脹を認めた. 造影CT上, 軽微なfree airと腹水を認めた. 経時的に腹水が増加したため同日緊急開腹術を行った. 開腹時, 血性腹水と腸液を確認した. 回盲部から40cmにメッケル憩室の穿孔を認め, 楔状に切離修復した. 他に腸間膜の損傷を数ヵ所認め止血修復し, 術後経過は...

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Published in日本外傷学会雑誌 Vol. 34; no. 3; pp. 40 - 43
Main Authors 小島, 直樹, 高木, 淑恵, 松田, 隼, 長谷川, 綾香, 有野, 聡, 一瀬, 麻紀, 佐々木, 庸郎, 山口, 和将, 稲川, 博司, 岡田, 保誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 20.07.2020
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Summary:メッケル憩室は消化管の先天的奇形のひとつで多くは無症状だが, まれに出血や炎症が生じる. 我々は外傷性メッケル憩室穿孔というまれな症例を経験した. 症例は52歳男性, バイク乗車中に受傷し, 左下肢・下腹部に強い自発痛を認めた. バイタルサインは安定, 体表所見は右前胸部, 左側腹部, 手指に打撲痕と挫傷, 左大腿部腫脹を認めた. 造影CT上, 軽微なfree airと腹水を認めた. 経時的に腹水が増加したため同日緊急開腹術を行った. 開腹時, 血性腹水と腸液を確認した. 回盲部から40cmにメッケル憩室の穿孔を認め, 楔状に切離修復した. 他に腸間膜の損傷を数ヵ所認め止血修復し, 術後経過は良好であった. なお, 切除検体の病理検査では異所性粘膜は認めなかった.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.34.3_01