一側性難聴による障害の実態と支援

要旨: 一側性難聴の聞こえの障害は, 限られた聴取場面で困難な状況が生じることに特徴があり, 日常生活の様々な場面で聞こえにくさに遭遇する。一側性難聴による障害場面については発達とともに変容し, 情報が高次化し人間関係が複雑化する社会人において最も困難さを自覚する傾向がある。先天性一側性難聴児においては, 言語発達への影響は全ての児で生じる訳ではないが, 中には課題が生じる児もいることが報告されており, 発達への影響を念頭に置き慎重に経過を観察していく必要があると言える。情報不足により不安を抱える保護者は多く, その後の生涯発達を見据えた情報提供と助言が求められている。後天性一側性難聴者におい...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 67; no. 6; pp. 527 - 533
Main Author 岡野, 由実
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 28.12.2024
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Summary:要旨: 一側性難聴の聞こえの障害は, 限られた聴取場面で困難な状況が生じることに特徴があり, 日常生活の様々な場面で聞こえにくさに遭遇する。一側性難聴による障害場面については発達とともに変容し, 情報が高次化し人間関係が複雑化する社会人において最も困難さを自覚する傾向がある。先天性一側性難聴児においては, 言語発達への影響は全ての児で生じる訳ではないが, 中には課題が生じる児もいることが報告されており, 発達への影響を念頭に置き慎重に経過を観察していく必要があると言える。情報不足により不安を抱える保護者は多く, その後の生涯発達を見据えた情報提供と助言が求められている。後天性一側性難聴者においては, 先天性と比べより聞こえによる困難さを自覚しており配慮や支援を強く求める傾向がある。医療に対しては情報提供と一側性難聴に対する理解を求める声が多く, 当事者の気持ちに寄り添ったサービスの提供が求められている。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.67.527