外傷性鎖骨下動脈損傷を伴うScapulothoracic dissociationに四肢開放骨折を合併した1例
肩甲胸郭解離 (Scapulothoracic dissociation : STD) は神経血管損傷を含む稀な外傷である. 生命に関わる外傷であるが, 本邦の救急領域ではその認知度が低い. 今回外傷性鎖骨下動脈損傷を伴うSTDに四肢開放骨折を合併し, 治療に難渋した症例を経験したので報告する. 症例は40歳代 女性. バイク乗車中の単独事故で受傷し当院搬送された. 頭部外傷や四肢開放骨折に加え右鎖骨下動静脈損傷を認めた. 出血性ショックに対し右鎖骨下動静脈結紮術を施行. その後多臓器不全を合併し, 集学的治療を要し四肢軟部組織の治療にも難渋した. 右上肢は軟部組織の循環障害により上腕切断に至...
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Published in | 日本外傷学会雑誌 Vol. 35; no. 3; pp. 269 - 274 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本外傷学会
2021
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Subjects | |
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ISSN | 1340-6264 2188-0190 |
DOI | 10.11382/jjast.35.3_09 |
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Summary: | 肩甲胸郭解離 (Scapulothoracic dissociation : STD) は神経血管損傷を含む稀な外傷である. 生命に関わる外傷であるが, 本邦の救急領域ではその認知度が低い. 今回外傷性鎖骨下動脈損傷を伴うSTDに四肢開放骨折を合併し, 治療に難渋した症例を経験したので報告する. 症例は40歳代 女性. バイク乗車中の単独事故で受傷し当院搬送された. 頭部外傷や四肢開放骨折に加え右鎖骨下動静脈損傷を認めた. 出血性ショックに対し右鎖骨下動静脈結紮術を施行. その後多臓器不全を合併し, 集学的治療を要し四肢軟部組織の治療にも難渋した. 右上肢は軟部組織の循環障害により上腕切断に至った. STDは出血性ショックを合併する場合があり, 迅速な止血戦略が必要である. また機能障害の程度を早期に評価して患肢温存の可否を決定することが肝要である. |
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ISSN: | 1340-6264 2188-0190 |
DOI: | 10.11382/jjast.35.3_09 |