下顎正中離断・経口蓋アプローチ法と 経鼻内視鏡を併用した上咽頭悪性腫瘍の切除

上咽頭癌の局所再発や二次癌に対する救済治療として手術が選択肢となるが,解剖学的理由から安全域の確保,腫瘍へのアプローチが課題となる。今回われわれは上咽頭癌に対する化学放射線治療の14年後に生じた放射線誘発肉腫を経験した。腫瘍は上咽頭後上壁に基部を有し,下顎正中離断・軟口蓋離断を併施した経口蓋アプローチ法に経鼻内視鏡を併用して切除を行った。内視鏡や鉗子類,電気メスそれぞれを術野に応じて経鼻・経口腔の2経路のよりよい方から挿入することで,良好な視野と操作性が得られ容易かつ安全な切除が可能となった。本邦では上咽頭悪性腫瘍の外科的切除の報告は少なく,本術式は上咽頭への有用なアプローチのひとつと考えられ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in頭頸部外科 Vol. 32; no. 2; pp. 185 - 190
Main Authors 佐藤, 悠歩, 東, 賢二郎, 石井, 亮, 中山, 勇樹, 中目, 亜矢子, 大越, 明, 香取, 幸夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2022
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:上咽頭癌の局所再発や二次癌に対する救済治療として手術が選択肢となるが,解剖学的理由から安全域の確保,腫瘍へのアプローチが課題となる。今回われわれは上咽頭癌に対する化学放射線治療の14年後に生じた放射線誘発肉腫を経験した。腫瘍は上咽頭後上壁に基部を有し,下顎正中離断・軟口蓋離断を併施した経口蓋アプローチ法に経鼻内視鏡を併用して切除を行った。内視鏡や鉗子類,電気メスそれぞれを術野に応じて経鼻・経口腔の2経路のよりよい方から挿入することで,良好な視野と操作性が得られ容易かつ安全な切除が可能となった。本邦では上咽頭悪性腫瘍の外科的切除の報告は少なく,本術式は上咽頭への有用なアプローチのひとつと考えられた。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.32.185