動揺胸郭を伴う胸骨骨折に対してロッキングプレートによる固定術を施行した1例

症例は58歳男性. 荷物の落下により左胸部を受傷し, 来院時に胸郭の動揺を認めた. 精査にて胸骨骨折, 多発肋骨骨折, 左血気胸等を認め, 胸骨骨折が動揺胸郭の主因と考えられた. 第1病日に酸素化の悪化を認め, 経口気管挿管による内固定を行ったが抜管には至らず, 第20病日に胸骨骨折に対しロッキングプレートを用いた固定術を施行した. 術後1日目で人工呼吸器を離脱し, 独歩退院となった. 胸骨骨折の多くは保存的治療で軽快し手術となることはまれである. 本症例では手術により良好な転帰を得た. 胸骨骨折に呼吸不全を伴う場合や転位の大きい場合には, 呼吸状態の改善, 疼痛の軽減を目的として, 積極的に...

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Published in日本外傷学会雑誌 Vol. 35; no. 1; pp. 16 - 20
Main Authors 河野, 元嗣, 猪狩, 純子, 松下, 俊介, 栩木, 愛登, 新井, 晶子, 宮﨑, 誠司, 阿竹, 茂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 20.01.2021
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ISSN1340-6264
2188-0190
DOI10.11382/jjast.35.1_04

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Summary:症例は58歳男性. 荷物の落下により左胸部を受傷し, 来院時に胸郭の動揺を認めた. 精査にて胸骨骨折, 多発肋骨骨折, 左血気胸等を認め, 胸骨骨折が動揺胸郭の主因と考えられた. 第1病日に酸素化の悪化を認め, 経口気管挿管による内固定を行ったが抜管には至らず, 第20病日に胸骨骨折に対しロッキングプレートを用いた固定術を施行した. 術後1日目で人工呼吸器を離脱し, 独歩退院となった. 胸骨骨折の多くは保存的治療で軽快し手術となることはまれである. 本症例では手術により良好な転帰を得た. 胸骨骨折に呼吸不全を伴う場合や転位の大きい場合には, 呼吸状態の改善, 疼痛の軽減を目的として, 積極的に胸骨固定術を検討すべきである.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.35.1_04