食道gastrointestinal stromal tumor—食道粘膜下腫瘍13例におけるGISTの比率とその腫瘍核出術後の成績

はじめに:食道粘膜下腫瘍のほとんどは平滑筋腫と考えられてきたが,gastrointestinal stromal tumor(以下,GIST)の診断基準の確立により,食道GIST症例が増加している.方法:1997年から2008年の間に当科で切除した食道粘膜下腫瘍13例を対象とし,免疫染色検査による再診断を行った.また,核出術後の転帰を自験例ならびに報告例から検討した.結果:食道粘膜下腫瘍13例の当初の診断の内訳はGIST 3例(23%),平滑筋腫6例,平滑筋肉腫2例,悪性リンパ腫1例,顆粒細胞腫1例だった.再診断により平滑筋腫2例がGISTと訂正された.その結果,内訳はGIST 5例(38%)...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 42; no. 10; pp. 1551 - 1556
Main Authors 田中, 寿明, 白水, 和雄, 西村, 光平, 藤田, 博正, 村田, 一貴, 田中, 優一, 内藤, 嘉紀, 的野, 吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.10.2009
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.42.1551

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Summary:はじめに:食道粘膜下腫瘍のほとんどは平滑筋腫と考えられてきたが,gastrointestinal stromal tumor(以下,GIST)の診断基準の確立により,食道GIST症例が増加している.方法:1997年から2008年の間に当科で切除した食道粘膜下腫瘍13例を対象とし,免疫染色検査による再診断を行った.また,核出術後の転帰を自験例ならびに報告例から検討した.結果:食道粘膜下腫瘍13例の当初の診断の内訳はGIST 3例(23%),平滑筋腫6例,平滑筋肉腫2例,悪性リンパ腫1例,顆粒細胞腫1例だった.再診断により平滑筋腫2例がGISTと訂正された.その結果,内訳はGIST 5例(38%),平滑筋腫4例,平滑筋肉腫2例,悪性リンパ腫1例,顆粒細胞腫1例となった.GISTのうち核出術が行われたのは4例であり,全例でいまだ再発はない.自験例4例と,食道GISTに核出術または一部が核出となった摘出術の国内外の報告12例を加え,16症例での検討を行った.術後の再発は4例(25%)に認められたが,腫瘍径が4 cm以下のもの,超低リスク・低リスク群での再発はなかった.考察:かつて,平滑筋腫と診断されていたものの中にGISTが少なからず存在し,食道粘膜下腫瘍に占めるGISTの割合は少なくない.また,腫瘍径が小さなものでは腫瘍核出術も許容されるが,小さくとも腫瘍細胞分裂やMIB-1 indexが高い症例では,再発を来すことがあるため厳密なfollow-upが必要である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.42.1551