小腸穿孔による腹膜炎で発症したII型腸管症型T細胞リンパ腫

症例は79歳の男性で,腹痛を主訴に来院した.腹部触診上臍左側に高度の圧痛を認めた.腹部造影CTで左下腹部に限局した小腸壁の肥厚と周囲脂肪織濃度の上昇および腸管外ガス像を認め,小腸穿孔,腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.大網の一部がトライツ靱帯より約180 cmの空腸壁に癒着し膿瘍を形成しており,同部を含む小腸部分切除術を施行した.切除標本では中心に潰瘍を伴う3 cm×7 cmの隆起性病変を認め潰瘍底で穿孔を来していた.病理組織学的検査では小腸壁全層に密に増生した中型のリンパ球とlymphoepithelial lesionを認めた.免疫染色検査の結果,CD3陽性,CD4陰性,CD8陽性,CD2...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 45; no. 10; pp. 1059 - 1065
Main Authors 西, 智史, 森, 周介, 西田, 保則, 平野, 龍亮, 吉福, 清二郎, 小田切, 範晃, 笹原, 孝太郎, 岸本, 浩史, 田内, 克典, 樋口, 佳代子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2012
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Summary:症例は79歳の男性で,腹痛を主訴に来院した.腹部触診上臍左側に高度の圧痛を認めた.腹部造影CTで左下腹部に限局した小腸壁の肥厚と周囲脂肪織濃度の上昇および腸管外ガス像を認め,小腸穿孔,腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.大網の一部がトライツ靱帯より約180 cmの空腸壁に癒着し膿瘍を形成しており,同部を含む小腸部分切除術を施行した.切除標本では中心に潰瘍を伴う3 cm×7 cmの隆起性病変を認め潰瘍底で穿孔を来していた.病理組織学的検査では小腸壁全層に密に増生した中型のリンパ球とlymphoepithelial lesionを認めた.免疫染色検査の結果,CD3陽性,CD4陰性,CD8陽性,CD20陰性,CD56陽性,EBER in situ hybridization陰性であった.以上よりII型腸管症型T細胞リンパ腫と診断した.術後8日目退院となり,その後再発し術後62日目に死亡した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.45.1059