Anomalous congenital bandによる小児特発性腹腔内出血の1例

症例は14歳の男性で,右下腹部痛により来院した.腹部CTでは虫垂は同定されなかったが,膀胱直腸窩に腹水貯留がみられたため穿孔性虫垂炎を疑い,腹腔鏡手術を行った.虫垂に軽度の炎症がみられたものの穿孔はなく,膀胱直腸窩には血性の腹水を認めた.腹腔内を検索すると小腸間膜と盲腸の間に架橋する異常な索状物が存在し,出血源と考えられたため,虫垂切除術および異常索状物の切除を行った.病理組織学的には索状物は血管および末梢神経叢からなりanomalous congenital bandと考えられ,また内部への出血も確認できた.患者は術後8日目に軽快退院した.腹痛はanomalous congenital ba...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 42; no. 10; pp. 1626 - 1630
Main Authors 辻, 尚志, 田中, 健大, 佃, 和憲, 平井, 隆二, 渡辺, 啓太郎, 高木, 章司, 國友, 忠義, 中原, 早紀, 多田, 明博, 池田, 英二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.10.2009
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.42.1626

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Summary:症例は14歳の男性で,右下腹部痛により来院した.腹部CTでは虫垂は同定されなかったが,膀胱直腸窩に腹水貯留がみられたため穿孔性虫垂炎を疑い,腹腔鏡手術を行った.虫垂に軽度の炎症がみられたものの穿孔はなく,膀胱直腸窩には血性の腹水を認めた.腹腔内を検索すると小腸間膜と盲腸の間に架橋する異常な索状物が存在し,出血源と考えられたため,虫垂切除術および異常索状物の切除を行った.病理組織学的には索状物は血管および末梢神経叢からなりanomalous congenital bandと考えられ,また内部への出血も確認できた.患者は術後8日目に軽快退院した.腹痛はanomalous congenital bandからの腹腔内出血が原因と考えられたが,同様な報告例はなく極めてまれな病態であると思われる.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.42.1626