IgG-κ型M蛋白血症を認めたHIV, HHV-8/KSHV陰性Primary effusion lymphoma

症例は93歳男性, 息切れを主訴に入院となった.CT検査では両側の胸水貯留がみられたが, リンパ節腫大はなかった.胸水中には核のくびれと細胞質の空胞形成が著明な異型細胞を多数認め, フローサイトメトリーによる表面抗原解析ではCD19, CD20が陽性, サザンプロット解析では免疫グロブリン重鎖遺伝子に再構成がみられ, 染色体分析では構造異常を伴う4倍体領域の核型異常を認めた.免疫染色では腫瘍細胞核内にヒトヘルペスウイルス8型 (human herpes virus-8: HHV-8) /Kaposi肉腫関連ヘルペスウイルス (Kaposi's sarcoma-associated h...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 68; no. 1; pp. 65 - 70
Main Authors 小峰, 光博, 原田, 浩史, 真田, 昌, 藤田, 和博, 森, 啓, 新倉, 春男, 酒井, 広隆, 川上, 恵一郎, 東, 礼美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 28.02.2008
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.68.65

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Summary:症例は93歳男性, 息切れを主訴に入院となった.CT検査では両側の胸水貯留がみられたが, リンパ節腫大はなかった.胸水中には核のくびれと細胞質の空胞形成が著明な異型細胞を多数認め, フローサイトメトリーによる表面抗原解析ではCD19, CD20が陽性, サザンプロット解析では免疫グロブリン重鎖遺伝子に再構成がみられ, 染色体分析では構造異常を伴う4倍体領域の核型異常を認めた.免疫染色では腫瘍細胞核内にヒトヘルペスウイルス8型 (human herpes virus-8: HHV-8) /Kaposi肉腫関連ヘルペスウイルス (Kaposi's sarcoma-associated herpes virus: KSHV) 抗原を検出せず, 血清ヒト免疫不全ウイルス (human immunodeficiency virus: HIV) 抗体は陰性であった.血清IgGは2560mg/dlで血清中に36.1%のM成分を認め, 免疫電気泳動ではIgG-κ型M蛋白であることがわかった.尿中Bence Jones蛋白は検出しなかった.一方, 骨髄における形質細胞の比率は5.0%であり, 明らかな骨病変はみられなかった.以上からIgG-κ型M蛋白血症を伴うHIV陰性HHV-8/KSHV陰性のPrimary effusion lymphoma (PEL) と診断した.フローサイトメトリーにて胸水リンパ腫細胞の細胞質内にIgG-κを認めたことからM蛋白はPELの腫瘍細胞が産生しているものと考えられた.これまでにM蛋白血症を合併したPELの報告はなく, 貴重な症例である.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.68.65