重症顔面外傷による出血性ショックに対して経カテーテル的動脈塞栓術を行い救命しえた1例

症例は57歳女性. シャッターが頭頸部に落下し, 鼻腔口腔内の出血が持続するため救急搬送となった. 来院時, 呼吸数30回/分, SpO2 99% (酸素 10L/分), 血圧122/70mmHg, 心拍数96回/分, Glasgow Coma Scale E1V2M5であり気管挿管を行った. CTで多発顔面骨骨折, 軸椎脱臼骨折を認めたがその他に損傷は認めなかった. 鼻腔口腔内のパッキングを行うもショック状態となったため, 両側外頸動脈に緊急経カテーテル的動脈塞栓術 (transcatheter arterial embolization ; TAE) を行った. その後, 顔面骨の観血的整...

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Published in日本外傷学会雑誌 Vol. 34; no. 3; pp. 44 - 48
Main Authors 山口, 英治, 澤野, 宏隆, 林, 靖之, 森山, 太揮, 伊藤, 裕介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 20.07.2020
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ISSN1340-6264
2188-0190
DOI10.11382/jjast.34.3_02

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Summary:症例は57歳女性. シャッターが頭頸部に落下し, 鼻腔口腔内の出血が持続するため救急搬送となった. 来院時, 呼吸数30回/分, SpO2 99% (酸素 10L/分), 血圧122/70mmHg, 心拍数96回/分, Glasgow Coma Scale E1V2M5であり気管挿管を行った. CTで多発顔面骨骨折, 軸椎脱臼骨折を認めたがその他に損傷は認めなかった. 鼻腔口腔内のパッキングを行うもショック状態となったため, 両側外頸動脈に緊急経カテーテル的動脈塞栓術 (transcatheter arterial embolization ; TAE) を行った. その後, 顔面骨の観血的整復固定術を行い, 経過良好で合併症なく第34病日に転院となった. 顔面外傷による鼻腔口腔内への出血は, 気道閉塞, 呼吸不全だけでなく出血性ショックの原因となる. パッキングを行っても顔面からの出血が持続し, 造影CTで血管外漏出像を認め, なおかつ出血性ショックから離脱できない場合, 緊急TAEが有用である.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.34.3_02