胸骨骨折に対する骨接合術-適応と手術手技についての考察

胸骨骨折の多くは保存的加療の対象となるが, 稀に骨接合術の適応となる症例を経験する. 自施設で手術加療を行った胸骨骨折8例について調査した. 高エネルギー外傷が7例で大動脈損傷や脊椎損傷など重篤な合併外傷がみられた. 胸部打撲によって受傷した1例は胸骨骨折単独外傷であった. 手術適応の主因は, 骨折部の転位が著しいもの6例, 呼吸障害の要因となっていると評価したもの2例であった. 手術は全例胸骨裏面にスパーテルを挿入して心大血管を保護した状態で操作し, 7例で2枚の顔面骨用ロッキングプレートを並べて固定, 柄部片側骨折の1例にはT字プレートを使用した. スクリューは胸骨裏面の骨皮質を貫通して挿...

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Published in日本外傷学会雑誌 Vol. 36; no. 3; pp. 270 - 275
Main Authors 多田, 圭太郎, 中山, 伸一, 中山, 晴輝, 伊集院, 真一, 矢形, 幸久, 石原, 諭, 松山, 重成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 20.07.2022
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ISSN1340-6264
2188-0190
DOI10.11382/jjast.36.3_04

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Summary:胸骨骨折の多くは保存的加療の対象となるが, 稀に骨接合術の適応となる症例を経験する. 自施設で手術加療を行った胸骨骨折8例について調査した. 高エネルギー外傷が7例で大動脈損傷や脊椎損傷など重篤な合併外傷がみられた. 胸部打撲によって受傷した1例は胸骨骨折単独外傷であった. 手術適応の主因は, 骨折部の転位が著しいもの6例, 呼吸障害の要因となっていると評価したもの2例であった. 手術は全例胸骨裏面にスパーテルを挿入して心大血管を保護した状態で操作し, 7例で2枚の顔面骨用ロッキングプレートを並べて固定, 柄部片側骨折の1例にはT字プレートを使用した. スクリューは胸骨裏面の骨皮質を貫通して挿入し, 手術時間と出血量は中央値でそれぞれ84分, 74mlであった. 多様な骨折型に対して, 顔面用プレートを主として, 臨機応変な固定方法を選択することが望ましい.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.36.3_04