高度低体温症で来院し, 復温の過程で徐脈から心静止に至った急性化膿性胆管炎の1例

74歳男性が意識障害と直腸温26.7℃の高度低体温で搬送された。意識レベルはGCSでE4V1M4。血圧57/31mmHg。心電図では49/分の洞性徐脈がみられた。初療室で加温輸液を約2時間で2,500mL急速投与したが, 徐脈を経て心静止した。速やかに心肺蘇生法 (cardiopulmonary resuscitation ; CPR) を施行し自己心拍は再開し, その後, 加温輸液とブランケットによる復温を継続した。また, カテコラミンの持続投与も行っていたが血圧への反応は乏しく, 再び徐脈から心静止へ移行したが, 再度CPRを施行し自己心拍は再開した。腹部CT検査で急性化膿性胆管炎の所見が...

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Published in日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 43; no. 4; pp. 224 - 227
Main Authors 池田, 万優子, 廣瀬, 陽介, 湯澤, 紘子, 近藤, 乾伍, 細野, 一樹, 貞広, 智仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本救急医学会関東地方会 28.12.2022
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Summary:74歳男性が意識障害と直腸温26.7℃の高度低体温で搬送された。意識レベルはGCSでE4V1M4。血圧57/31mmHg。心電図では49/分の洞性徐脈がみられた。初療室で加温輸液を約2時間で2,500mL急速投与したが, 徐脈を経て心静止した。速やかに心肺蘇生法 (cardiopulmonary resuscitation ; CPR) を施行し自己心拍は再開し, その後, 加温輸液とブランケットによる復温を継続した。また, カテコラミンの持続投与も行っていたが血圧への反応は乏しく, 再び徐脈から心静止へ移行したが, 再度CPRを施行し自己心拍は再開した。腹部CT検査で急性化膿性胆管炎の所見がみられ, 敗血症性ショックの併発が示唆され, 直ちに広域抗菌薬による治療を開始し, 翌日には覚醒が得られた。低体温症はとくに高齢者では感染症を疑い, 復温と同時に原因検索とその治療を迅速に行うべきである。また, 低体温症例の復温中は心室頻拍/心室細動だけでなく, 心静止となることも念頭に置き治療を行う必要がある。
ISSN:0287-301X
2434-2580
DOI:10.24697/jaamkanto.43.4_224