紫斑病の鑑別に苦慮した日本紅斑熱の1例
症例は40代, 女性。ウイルス性腸炎の疑いで入院となった。入院後, 血圧低下と意識障害をきたし, 集中治療室に入室となった。原因不明の血圧低下から離脱後, 全身に急速進行性の紫斑が出現した。紫斑の原因としては急性感染性電撃性紫斑病 (acute infectious purpura fulminans ; AIPF) や薬剤による中毒性表皮壊死症 (toxic epidermal necrolysis ; TEN) が考えられた。メチルプレドニゾロンの点滴投与を行ったが皮膚所見の改善が乏しく, 血漿交換療法を施行したところ改善を認めた。入院時に提出したリケッチアの血清学的検査でペア血清が4倍以...
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Published in | 日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 43; no. 4; pp. 183 - 187 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本救急医学会関東地方会
28.12.2022
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Subjects | |
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ISSN | 0287-301X 2434-2580 |
DOI | 10.24697/jaamkanto.43.4_183 |
Cover
Summary: | 症例は40代, 女性。ウイルス性腸炎の疑いで入院となった。入院後, 血圧低下と意識障害をきたし, 集中治療室に入室となった。原因不明の血圧低下から離脱後, 全身に急速進行性の紫斑が出現した。紫斑の原因としては急性感染性電撃性紫斑病 (acute infectious purpura fulminans ; AIPF) や薬剤による中毒性表皮壊死症 (toxic epidermal necrolysis ; TEN) が考えられた。メチルプレドニゾロンの点滴投与を行ったが皮膚所見の改善が乏しく, 血漿交換療法を施行したところ改善を認めた。入院時に提出したリケッチアの血清学的検査でペア血清が4倍以上の抗体価の上昇を認めたため, 日本紅斑熱による敗血症性ショックと診断した。入院時に施行した病理組織学的検査ではAIPF, TENの双方に矛盾しない結果であったが, TENに特徴的な表皮の全層性壊死を認めた点からは紫斑の原因はTENであった可能性が高い。日本紅斑熱によるAIPFはまれではあり報告数は少ないが, 紫斑の鑑別疾患として考えることが重要である。 |
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ISSN: | 0287-301X 2434-2580 |
DOI: | 10.24697/jaamkanto.43.4_183 |