境界域及び軽度高コレステロール血症に対しLactobacillus gasseri(ガゼリ菌SP株)を含有する発酵乳は血清コレステロール値を低下させる

近年,わが国における高脂血症の罹患率は急増傾向にあり,それに伴い虚血性心疾患の発症率も上昇している。コレステロールは動脈硬化と深く関連しており,血清総コレステロール値などの血清脂質値を正常に維持することは,循環器障害,脳慮管障害の発症を抑えるためにも極めて重要である。今回,我々は,動物試験で食餌性高コレステロール血症の改着作用が示されているLactobaciglus gasseri(ガゼリ菌SP株)に注目し,それを倉有した発酵乳の愈中脂質に対する影響及び安全性について検討した。境界域及び軽度高コレステロール血症を呈する男性74名を4i群に分け,2週間の観察期間の後,A群には発酵乳2009/日,...

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Published in日本乳酸菌学会誌 Vol. 13; no. 2; pp. 114 - 124
Main Authors 高橋, 丈生, 鈴木, 豊, 梶本, 修身, 平田, 澤, 青江, 誠一郎, 田中, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本乳酸菌学会 01.12.2002
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ISSN1343-327X
2186-5833
DOI10.4109/jslab1997.13.114

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Summary:近年,わが国における高脂血症の罹患率は急増傾向にあり,それに伴い虚血性心疾患の発症率も上昇している。コレステロールは動脈硬化と深く関連しており,血清総コレステロール値などの血清脂質値を正常に維持することは,循環器障害,脳慮管障害の発症を抑えるためにも極めて重要である。今回,我々は,動物試験で食餌性高コレステロール血症の改着作用が示されているLactobaciglus gasseri(ガゼリ菌SP株)に注目し,それを倉有した発酵乳の愈中脂質に対する影響及び安全性について検討した。境界域及び軽度高コレステロール血症を呈する男性74名を4i群に分け,2週間の観察期間の後,A群には発酵乳2009/日,B群には1009/日,C群にはプラセボ発酵乳2009/日を11週問,1日1回朝に摂取させた。D群は,非摂取群とした。A,B,C群については,二重盲検法を採用した。その結果,A群では摂取期問終了時に迎清総コレステロール値が摂取前212.2±22.5mg/d1から200.8±23.6mg/dlに有意に低下し(P<0.05),C群と有意な差を認めた(P<0,05)。LDLにおいてもA群では顕著な改善効果(P<0.05)を認め,C群と有意な差を認めた(P<0.05)。D群との比較では,血清総コレステロール値,およびLDL値において,A群で低下する傾向が認められた(p=O,092,p=0.062)。また,発酵乳摂取群において副作用と思われるような血液学的変化,理学的変化臨廉上の変化は認められなかった、これらの結果より,ガセリ菌SP株を含有する発酵乳が境界域及び軽度高コレステロール血症者の血清総コレステロール値を低下させること,ならびに本発酵乳の安全性が示された。
ISSN:1343-327X
2186-5833
DOI:10.4109/jslab1997.13.114