認知的過程に着目したステップ反応動作の分析 転倒リスク評価の開発に向けて
「高齢者の転倒とステップ反動動作の分析」 外的環境に対する素早い反応は, 日常生活における安全な移動のために不可欠な機能である. ここでいう「反応」には, 情報の知覚と認知的処理, それに基づく実行までの一連の過程が含まれており, その速度を測定するための指標としてステップ反応時間の分析が広く用いられている. これまでに, ステップ反応時間の遅延は高齢者の転倒の危険因子となることが複数の研究により報告され, 歩行速度などの一般的なパフォーマンステストに比較して高い転倒予測能を示すことが明らかになっている. 一方で, 加齢に伴う運動機能と認知機能の低下は転倒リスクを相乗的に高めるとされ, それぞ...
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Published in | 理学療法学 Vol. 42; no. 8; pp. 827 - 828 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士学会
20.12.2015
日本理学療法士協会 |
Subjects | |
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ISSN | 0289-3770 2189-602X |
DOI | 10.15063/rigaku.42-8_113 |
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Summary: | 「高齢者の転倒とステップ反動動作の分析」 外的環境に対する素早い反応は, 日常生活における安全な移動のために不可欠な機能である. ここでいう「反応」には, 情報の知覚と認知的処理, それに基づく実行までの一連の過程が含まれており, その速度を測定するための指標としてステップ反応時間の分析が広く用いられている. これまでに, ステップ反応時間の遅延は高齢者の転倒の危険因子となることが複数の研究により報告され, 歩行速度などの一般的なパフォーマンステストに比較して高い転倒予測能を示すことが明らかになっている. 一方で, 加齢に伴う運動機能と認知機能の低下は転倒リスクを相乗的に高めるとされ, それぞれの個別な評価ではなく両者の相互作用を捉えられるような複合的評価が, 予測能を高めるために重要であることが予想される. ステップ反応動作には, もともと認知的な要素が含まれているものの, 動作時の認知機能の働きを強調するような課題設定を用いることで, より効果的な転倒リスク評価が可能となることが考えられる. |
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ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
DOI: | 10.15063/rigaku.42-8_113 |