L1日本語の英語学習者によるtough構文の産出におけるインプットと母語の影響

日英語のtough構文は本質的にかなり異なる。本研究は,L1日本語の学習者(中高生)による英語のtough構文の産出,そしてL2インプットとL1がそれに与える影響を調べた。JEFILLコーパスと英語の教科書を分析した結果,中高生の英語のtough構文の産出は限定的であったが,使用頻度が高い述語が教科書分析の結果と合致したことから,インプットの質が影響を与えている可能性が示唆された。一方,インプットは誤文を説明できず,正文に関してもインプット量が十分ではなかった。また,産出されたtough構文の特徴は正文・誤文共にL1と合致したことから,L1転移の可能性が示唆された。さらに,誤文で見つかった残留...

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Published in言語研究 Vol. 165; pp. 33 - 57
Main Authors 野地, 美幸, 藤井, みずほ, 河内, 健志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本言語学会 2024
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Summary:日英語のtough構文は本質的にかなり異なる。本研究は,L1日本語の学習者(中高生)による英語のtough構文の産出,そしてL2インプットとL1がそれに与える影響を調べた。JEFILLコーパスと英語の教科書を分析した結果,中高生の英語のtough構文の産出は限定的であったが,使用頻度が高い述語が教科書分析の結果と合致したことから,インプットの質が影響を与えている可能性が示唆された。一方,インプットは誤文を説明できず,正文に関してもインプット量が十分ではなかった。また,産出されたtough構文の特徴は正文・誤文共にL1と合致したことから,L1転移の可能性が示唆された。さらに,誤文で見つかった残留代名詞に関して追実験でその存在の検証を行った結果,学習者の中間言語がそれを許容していると考えられ,学習者の産出するtough構文も英語母語話者とは本質的に異っている可能性が示唆された。
ISSN:0024-3914
2185-6710
DOI:10.11435/gengo.165.0_33