大気中VOC組成と発生源寄与の解析

関東地方における成分別VOC濃度の測定結果から、季節別のVOC組成の特徴を整理するとともに、CMB (Chemical Mass Balance) 法による発生源別寄与の解析を行った。解析には、2004年から2005年にかけて5地点において季節別にキャニスター法により5サンプルを採取し、63成分のVOCを定量した結果を用いた。関東地方で測定されたVOC成分の総和は、春季および夏季に低く、秋季および冬季に高かった。VOC組成に着目した場合、夏季は炭素数が4-5の脂肪族炭化水素の割合が高く、冬季は炭素数3以下の低級炭化水素の割合が高かった。 CMB法による発生源別の寄与を解析したところ、春季および...

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Published in大気環境学会誌 Vol. 44; no. 3; pp. 136 - 146
Main Authors 佐々木, 寛介, 木下, 輝昭, 石井, 康一郎, 坂本, 和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 大気環境学会 2009
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Summary:関東地方における成分別VOC濃度の測定結果から、季節別のVOC組成の特徴を整理するとともに、CMB (Chemical Mass Balance) 法による発生源別寄与の解析を行った。解析には、2004年から2005年にかけて5地点において季節別にキャニスター法により5サンプルを採取し、63成分のVOCを定量した結果を用いた。関東地方で測定されたVOC成分の総和は、春季および夏季に低く、秋季および冬季に高かった。VOC組成に着目した場合、夏季は炭素数が4-5の脂肪族炭化水素の割合が高く、冬季は炭素数3以下の低級炭化水素の割合が高かった。 CMB法による発生源別の寄与を解析したところ、春季および夏季はガソリン自動車排ガスの寄与が大きかったほか、夏季については一部地点ではガソリン蒸気の寄与の増大がみられた。冬季については、LPガスの寄与が顕著に増加した。VOCの発生源別寄与を関西地域と比較した場合、関東ではLPガスと塗料の寄与が高いことが特徴であった。前者は関東地域の方が都市ガス普及率が低く、LPガス供給量が多いこと、後者は統計資料等から推定される塗料起源のVOC排出量が関西地域よりも大きいことを反映した結果と考えられた。また、海外の都市における発生源別寄与と比較しところ、東京においては、塗料からの寄与が大きいことが明らかとなった。
ISSN:1341-4178
2185-4335
DOI:10.11298/taiki.44.136