養豚農場排水中硝酸性窒素等およびアンモニア性窒素の簡易濃度推定法

養豚汚水処理においては,水質汚濁防止法の規制項目である「アンモニア,アンモニウム化合物,亜硝酸化合物及び硝酸化合物」(以下「硝酸性窒素等」と略す)の遵守が重要課題となっている。的確な窒素化合物除去のためには処理水の窒素化合物濃度をリアルタイムで把握することが重要である。そこで,携帯型計器で容易に測定可能な水質項目により硝酸性窒素等およびアンモニア性窒素の濃度を推定する手法を検討した。全国14農場で採取した浄化処理水の分析データを用い,硝酸性窒素等を目的変数,pHと電気伝導率(EC),またはpHと屈折率を説明変数とする重回帰分析および決定木分析を行った。この結果,硝酸性窒素等の推定は,pHとEC...

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Published in日本養豚学会誌 Vol. 58; no. 4; pp. 165 - 177
Main Authors 田中, 康男, 竹本, 佳正, 長谷川, 輝明, 薬師堂, 謙一, 長田, 隆, 半田, 裕紀, 鈴木, 一好, 道宗, 直昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本養豚学会 28.12.2021
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Summary:養豚汚水処理においては,水質汚濁防止法の規制項目である「アンモニア,アンモニウム化合物,亜硝酸化合物及び硝酸化合物」(以下「硝酸性窒素等」と略す)の遵守が重要課題となっている。的確な窒素化合物除去のためには処理水の窒素化合物濃度をリアルタイムで把握することが重要である。そこで,携帯型計器で容易に測定可能な水質項目により硝酸性窒素等およびアンモニア性窒素の濃度を推定する手法を検討した。全国14農場で採取した浄化処理水の分析データを用い,硝酸性窒素等を目的変数,pHと電気伝導率(EC),またはpHと屈折率を説明変数とする重回帰分析および決定木分析を行った。この結果,硝酸性窒素等の推定は,pHとECまたはpHと屈折率による重回帰および決定木により可能と推定された。予測精度は重回帰の方が高かったが,決定木による推定は計算操作が不要なことから現場での利用には適する可能性がある。アンモニア性窒素濃度は,ECおよび屈折率とそれぞれ有意な相関関係が見られたことから,どちらの測定値でも推定可能と考えられた。ECと屈折率を比較すると,屈折率計の方がゼロ調整のみで校正は不要なので利用は容易と推定された。決定木を使用する場合のpH測定は,電極法の替わりにBTB指示薬による簡易試色法も利用可能である。
ISSN:0913-882X
1881-655X
DOI:10.5938/youton.58.4_165