当院における障害者(児)の歯科治療に対する静脈内鎮静法と日帰り全身麻酔の選択の傾向

当院では障害者(児)の歯科治療が安全に行えるように薬物的行動調整法が選択された際に静脈内鎮静法と日帰り全身麻酔が実施されている.そこで,その選択基準の設定に向けて静脈内鎮静法と日帰り全身麻酔の選択の傾向を調査した.2010年4月から2015年3月までの5年間に当院で実施した障害者(児)の静脈内鎮静法のべ264例,日帰り全身麻酔のべ58例を対象とした.症例数は静脈内鎮静法で減少傾向にあったが,日帰り全身麻酔で徐々に増加傾向にあった.年齢(中央値)は静脈内鎮静法で25歳,日帰り全身麻酔で15歳であり,日帰り全身麻酔で有意に低かった.障害の分類は静脈内鎮静法および日帰り全身麻酔ともに知的能力障害,自...

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Published in日本障害者歯科学会雑誌 Vol. 38; no. 1; pp. 74 - 79
Main Authors 倉田, 行伸, 瀬尾, 憲司, 田中, 裕, 弦巻, 立, 金丸, 博子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本障害者歯科学会 2017
The Japanese Society for Disability and Oral Health
Subjects
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ISSN0913-1663
2188-9708
DOI10.14958/jjsdh.38.74

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Summary:当院では障害者(児)の歯科治療が安全に行えるように薬物的行動調整法が選択された際に静脈内鎮静法と日帰り全身麻酔が実施されている.そこで,その選択基準の設定に向けて静脈内鎮静法と日帰り全身麻酔の選択の傾向を調査した.2010年4月から2015年3月までの5年間に当院で実施した障害者(児)の静脈内鎮静法のべ264例,日帰り全身麻酔のべ58例を対象とした.症例数は静脈内鎮静法で減少傾向にあったが,日帰り全身麻酔で徐々に増加傾向にあった.年齢(中央値)は静脈内鎮静法で25歳,日帰り全身麻酔で15歳であり,日帰り全身麻酔で有意に低かった.障害の分類は静脈内鎮静法および日帰り全身麻酔ともに知的能力障害,自閉スペクトラム症の順で多く,特筆すべき傾向はなかった.治療本数(中央値)は静脈内鎮静法で2本,日帰り全身麻酔で8本であり,日帰り全身麻酔で有意に多かった.処置時間(中央値)は静脈内鎮静法で55分,日帰り全身麻酔で158.5分であり,日帰り全身麻酔で有意に長かった.麻酔時間(中央値)は静脈内鎮静法で80分,日帰り全身麻酔で229.5分であり,日帰り全身麻酔で有意に長かった.以上より,本院では低年齢は患者本人の理解や協力および体動抑制に伴う心的外傷の点から,治療本数の多さや処置時間の長さは患者自身やその家族の負担軽減の点から日帰り全身麻酔を選択する傾向があり,それに合う基準が必要と考えられた.
ISSN:0913-1663
2188-9708
DOI:10.14958/jjsdh.38.74