元素イメージングのための組織試料作製手法の検討:自家蛍光を利用した組織構造および元素局在部の抽出

組織構造と対応した元素分布様態の把握は,生命金属の機能を理解する上で重要である.無処置・無染色で組織構造を把握することができれば,SR-XRFやmicro-PIXEのような非破壊元素分析と組み合わせ,生命金属動態解析のための有力なツールになり得る.本研究では,ラット腎臓試料を用い,自家蛍光を利用した組織構造と元素局在部の抽出を試みた.励起波長520-550 nm,蛍光波長580 nm以上あるいは励起波長470-490 nm,蛍光波長515-550 nmの蛍光フィルターを用いることで,糸球体や尿細管の判別が可能な組織像を得ることができた.また,ウランを投与すると腎臓の髄質外辺部(OSOM,皮質と...

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Published inX線分析の進歩 Vol. 51; pp. 91 - 96
Main Authors 石原, 弘, 及川, 将一, 武田, 志乃, 上原, 章寛, 吉田, 峻規, 田中, 泉, 沼子, 千弥
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 X線分析研究懇談会 31.03.2020
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ISSN0911-7806
2758-3651
DOI10.57415/xshinpo.51.0_91

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Summary:組織構造と対応した元素分布様態の把握は,生命金属の機能を理解する上で重要である.無処置・無染色で組織構造を把握することができれば,SR-XRFやmicro-PIXEのような非破壊元素分析と組み合わせ,生命金属動態解析のための有力なツールになり得る.本研究では,ラット腎臓試料を用い,自家蛍光を利用した組織構造と元素局在部の抽出を試みた.励起波長520-550 nm,蛍光波長580 nm以上あるいは励起波長470-490 nm,蛍光波長515-550 nmの蛍光フィルターを用いることで,糸球体や尿細管の判別が可能な組織像を得ることができた.また,ウランを投与すると腎臓の髄質外辺部(OSOM,皮質と髄質に挟まれた領域)でリン濃集部が出現するが,リンのmicro-PIXEイメージングとよく対応した蛍光画像が得られ,目標とするPIXEと良好のマッチングが示された.
ISSN:0911-7806
2758-3651
DOI:10.57415/xshinpo.51.0_91