PCR-based ORF Typing(POT)法の原理と判定の注意点

分子疫学は分離菌を遺伝子学的情報によって特徴付けする手法である.分子疫学解析することで,同一菌株の拡散を追跡可能で,感染管理にも有用な情報が得られる.PCR-based ORF typing(POT)法は病院の検査室でも実施可能な分子疫学解析法として,利用が進んでいる.POT法は迅速性と結果の判定及び共有が容易となるよう設計されており,細菌検査室においても利用しやすい特性を持っている.その一方,細菌ゲノムのごく一部を検出することで遺伝子型を決定する手法であるため,菌株識別能力の限界も理解しておく必要がある.POT法の特徴を知り,感染管理に上手に利用してもらいたい....

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Published inJapanese Journal of Infection Prevention and Control Vol. 39; no. 5; pp. 163 - 167
Main Author 鈴木, 匡弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境感染学会 25.09.2024
Japanese Society for Infection Prevention and Control
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Summary:分子疫学は分離菌を遺伝子学的情報によって特徴付けする手法である.分子疫学解析することで,同一菌株の拡散を追跡可能で,感染管理にも有用な情報が得られる.PCR-based ORF typing(POT)法は病院の検査室でも実施可能な分子疫学解析法として,利用が進んでいる.POT法は迅速性と結果の判定及び共有が容易となるよう設計されており,細菌検査室においても利用しやすい特性を持っている.その一方,細菌ゲノムのごく一部を検出することで遺伝子型を決定する手法であるため,菌株識別能力の限界も理解しておく必要がある.POT法の特徴を知り,感染管理に上手に利用してもらいたい.
ISSN:1882-532X
1883-2407
DOI:10.4058/jsei.39.163