診療記録統合管理システム(DACS)における文書の統合管理の有効性

診療記録には様々な「境界」が存在している.紙カルテでは科別管理や入院カルテの分冊が一般的であった.電子カルテではサブシステムごとの記録管理が典型である.これらの境界が多いほど目的の記録へのアクセスに手間がかかる.よって診療上は,すべての記録は論理的に1箇所で管理され,統一的な方法で閲覧できること(診療記録の統合管理)が望ましい.  本研究の目的は,DACS(Document Archiving and Communication System)における診療記録文書の統合管理の有効性を検証することである.そのため,阪大病院で稼働中のDACSのシステムログを分析し,前述の境界を跨ぐ文書閲覧が実際に...

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Published in医療情報学 Vol. 32; no. 4; pp. 197 - 205
Main Authors 倉林, 則之, 山﨑, 竹視, 上田, 郁奈代, 藤井, 歩美, 武田, 理宏, 松村, 泰志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本医療情報学会 2012
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Summary:診療記録には様々な「境界」が存在している.紙カルテでは科別管理や入院カルテの分冊が一般的であった.電子カルテではサブシステムごとの記録管理が典型である.これらの境界が多いほど目的の記録へのアクセスに手間がかかる.よって診療上は,すべての記録は論理的に1箇所で管理され,統一的な方法で閲覧できること(診療記録の統合管理)が望ましい.  本研究の目的は,DACS(Document Archiving and Communication System)における診療記録文書の統合管理の有効性を検証することである.そのため,阪大病院で稼働中のDACSのシステムログを分析し,前述の境界を跨ぐ文書閲覧が実際にどの程度発生しているかを調べた.  分析の結果,137,040個のアクセススレッド(医師による一連の文書閲覧の系列)が特定された.その42.2%が診療科の境界を跨ぐ閲覧,27.7%は入院の境界を跨ぐ閲覧,69.1%はサブシステムの境界を跨ぐ閲覧を含んでいた.これらは診療記録を統合管理することの有効性を示唆していると考えられる.
ISSN:0289-8055
2188-8469
DOI:10.14948/jami.32.197