ペンシル型走査型プローブ顕微鏡の開発

市販の超高分解能インレンズ方式冷陰極型電界放射走査型電子顕微鏡(SEM)に組み込める小型走査型プローブ顕微鏡(SPM)(ペンシル型SPMと命名)を開発した.高性能SEMと,3次元走査観察・操作可能なSPMの複合機を利用した研究事例を紹介する.SEM観察しながら,Geが付着したPt-Ir探針先端をWフィラメントヒータ(約1400°C)に接触させ,両者間にGe架橋を形成させた.GeはWフィラメント上でよく濡れ,架橋の中央部は溶融していた.両者を引き離していくと,低温の探針側でGeが固化・結晶化した.融解架橋部が破断するまで引き離すと,先端部に曲率半径50 nm程の突起が形成された.SEM付随のエネ...

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Published in顕微鏡 Vol. 47; no. 1; pp. 3 - 7
Main Author 富取, 正彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本顕微鏡学会 30.03.2012
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Summary:市販の超高分解能インレンズ方式冷陰極型電界放射走査型電子顕微鏡(SEM)に組み込める小型走査型プローブ顕微鏡(SPM)(ペンシル型SPMと命名)を開発した.高性能SEMと,3次元走査観察・操作可能なSPMの複合機を利用した研究事例を紹介する.SEM観察しながら,Geが付着したPt-Ir探針先端をWフィラメントヒータ(約1400°C)に接触させ,両者間にGe架橋を形成させた.GeはWフィラメント上でよく濡れ,架橋の中央部は溶融していた.両者を引き離していくと,低温の探針側でGeが固化・結晶化した.融解架橋部が破断するまで引き離すと,先端部に曲率半径50 nm程の突起が形成された.SEM付随のエネルギー分散型X線分析器などで分析したところ,その先端内部にPtが偏析していることがわかった.本手法は,ミクロ・ナノサイズの融解接触による合金化・析出・接合形成過程の解析,微小突起の作製に有望である.
ISSN:1349-0958
2434-2386
DOI:10.11410/kenbikyo.47.1_3