再発上咽頭がんの放射線治療後に鼻出血で発症した内頚動脈仮性動脈瘤に対して母血管閉塞術を行った1例

37歳,男性.放射線治療後の再発上咽頭がんに対する2度目の放射線治療の後に鼻出血をきたした.1回目の血管撮影では出血源を同定できず,左上咽頭の腫瘍壊死部からの出血と判断して,左顎動脈からの流入血管を33% NBCAで塞栓した.約30分後に大量の鼻出血をきたし,呼吸停止と血圧低下をきたしたため,緊急で気管切開を行った.2回目の血管撮影で左内頚動脈の錐体部に仮性動脈瘤の顕在化を認め,出血源と判断した.側副血行を確認した後,左内頚動脈の母血管閉塞を実施した.コイルで塞栓した後,コイル端の近位側より50% NBCAを注入して母血管を完全に閉塞した.2カ月後,鼻腔内の観察で左内頚動脈内のコイル塊の透見を...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 52; no. 1; pp. 18 - 22
Main Authors 寺川, 雄三, 入江, 伸介, 片岡, 丈人, 高平, 一樹, 齋藤, 孝次, 野呂, 昇平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 31.01.2024
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.52.18

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Summary:37歳,男性.放射線治療後の再発上咽頭がんに対する2度目の放射線治療の後に鼻出血をきたした.1回目の血管撮影では出血源を同定できず,左上咽頭の腫瘍壊死部からの出血と判断して,左顎動脈からの流入血管を33% NBCAで塞栓した.約30分後に大量の鼻出血をきたし,呼吸停止と血圧低下をきたしたため,緊急で気管切開を行った.2回目の血管撮影で左内頚動脈の錐体部に仮性動脈瘤の顕在化を認め,出血源と判断した.側副血行を確認した後,左内頚動脈の母血管閉塞を実施した.コイルで塞栓した後,コイル端の近位側より50% NBCAを注入して母血管を完全に閉塞した.2カ月後,鼻腔内の観察で左内頚動脈内のコイル塊の透見を認めたが,鼻出血の再発を認めなかった.仮性動脈瘤に対する母血管閉塞においてNBCA注入が一助となる可能性があると考えられた.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.52.18