癌化巣および肝転移巣切除で延命が得られた家族性大腸腺腫症の1例

• Published in: 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 42; no. 6; pp. 1076 - 1079
• Main Authors: 蒔田, 益次郎, 梶原, 哲郎, 飯田, 富雄, 芳賀, 駿介, 松本, 紀夫, 加藤, 博之, 森, 正樹, 清水, 忠夫, 小豆畑, 博, 今村, 洋
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 日本大腸肛門病学会 1989
• Subjects: 大腸癌肝転移; 家族性大腸腺腫症
• ISSN: 0047-1801; 1882-9619
• DOI: 10.3862/jcoloproctology.42.1076

進行直腸癌に伴い発見され, 癌化巣および肝転移巣切除で延命が得られた家族性大腸腺腫症の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は44歳, 男性.家族歴で, 母親と長姉が直腸癌で死亡.次姉と妹が大腸腺腫症にて20歳代時に大腸切除術を受けていた.便秘を主訴として来院.注腸造影および下部消化管内視鏡検査により大腸腺腫症の癌化による直腸癌と診断し, Miles 術式の根治術と同時に全結腸切除術の予定で開腹したが, 膀胱壁への浸潤, 高度なリンパ節転移を認め, Miles 術+膀胱の部分切除術にとどめた.術後, 早期に肝両葉への転移巣を認めたが, 他臓器転移もないため, 外側区域切除術+後区域部分切除術を施行し, 術後3年11カ月間生存した.