砂型鋳造工場作業場内の臭気性・有害性化学物質

砂型鋳造作業場内において,アルデヒド・ケトン類,フェノールを含む82種の揮発性有機化合物(VOC), 4種の硫黄系化合物,16種の多環芳香族炭化水素類(PAH),148種のダイオキシン類の計250化合物の一斉分析を行い,作業場内における化学物質濃度を求めるとともに,作業工程による化学物質組成の変化について考察した.結果として,18~84ppbのアルデヒド類,9.5~25ppbのケトン類,0.59~0.91ppbのフェノール,120~270ppbのその他のVOC,11~35ppbの硫化水素,0.017~0.022ppbのPAHが作業場内空気から検出された.ダイオキシン類の明らかな生成は認められな...

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Published in大気環境学会誌 Vol. 44; no. 3; pp. 166 - 173
Main Authors 石川, 紫, 唐牛, 聖文, 竹内, 庸夫, 蓑毛, 康太郎, 大塚, 宜寿, 野尻, 喜好, 柳沢, 幸雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 大気環境学会 2009
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Summary:砂型鋳造作業場内において,アルデヒド・ケトン類,フェノールを含む82種の揮発性有機化合物(VOC), 4種の硫黄系化合物,16種の多環芳香族炭化水素類(PAH),148種のダイオキシン類の計250化合物の一斉分析を行い,作業場内における化学物質濃度を求めるとともに,作業工程による化学物質組成の変化について考察した.結果として,18~84ppbのアルデヒド類,9.5~25ppbのケトン類,0.59~0.91ppbのフェノール,120~270ppbのその他のVOC,11~35ppbの硫化水素,0.017~0.022ppbのPAHが作業場内空気から検出された.ダイオキシン類の明らかな生成は認められなかった. 鋳型造型工程,注湯後凝固/冷却工程ならびに型ばらし工程の工程間濃度を比較したところ,概して,注湯後凝固/冷却工程における濃度が最も高く,本工程が化学物質を最も放出する工程であることが示唆された.また,注湯の前後では,空気中に含まれる化学物質の組成に変化が見られ,臭いの強さを表す閾希釈倍数の増加も確認された.また,作業場内臭気は,多数の化合物に因る複合臭ではなく,硫化水素,ならびにアセトアルデヒドなど,数種の限られた物質に大きく因る臭気であることが示唆された.
ISSN:1341-4178
2185-4335
DOI:10.11298/taiki.44.166