関東平野部における気象要因を考慮した近年の光化学オキシダント濃度変化の解析

近年の光化学オキシダント(Ox)濃度の変化を解析するため、関東平野部を内陸部から沿岸部にかけてエリア分けし、春夏についてOx日最高濃度とOx日内変化量に着目した指標を用いて解析を行った。気象要素との相関関係を解析した結果、日最高気温が春夏共通してOx濃度に対して関係性が強く、気温上昇がOx高濃度化の起こりやすさの指標となっていることが示された。日照時間と日最高気温に基づいた一定の気象条件で、2011–2014年度と2016–2019年度の二つの期間のOx日最高濃度および日内変化量を比較した結果、夏は減少し、特に内陸部の減少が大きかった。NOx、NMHC濃度は減少していたことから、夏のOx減少は...

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Published in大気環境学会誌 Vol. 57; no. 5; pp. 109 - 118
Main Authors 熊谷, 貴美代, 田子, 博, 菅田, 誠治, 坂本, 祥一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 大気環境学会 10.08.2022
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Summary:近年の光化学オキシダント(Ox)濃度の変化を解析するため、関東平野部を内陸部から沿岸部にかけてエリア分けし、春夏についてOx日最高濃度とOx日内変化量に着目した指標を用いて解析を行った。気象要素との相関関係を解析した結果、日最高気温が春夏共通してOx濃度に対して関係性が強く、気温上昇がOx高濃度化の起こりやすさの指標となっていることが示された。日照時間と日最高気温に基づいた一定の気象条件で、2011–2014年度と2016–2019年度の二つの期間のOx日最高濃度および日内変化量を比較した結果、夏は減少し、特に内陸部の減少が大きかった。NOx、NMHC濃度は減少していたことから、夏のOx減少は前駆物質濃度低下による光化学生成の低減の結果と推察された。一方、春ではNOx、NMHC濃度は夏と同様に減少していたにもかかわらず、Ox日最高濃度および日内変化量ともに減少は確認されなかった。春においては域内の光化学生成以外の要因もあり、前駆物質濃度の減少効果がOx減少として表れにくい可能性が考えられた。また、注意報レベルのOx濃度は、6時間以上の日照時間があり、日最高気温が春は27°C以上、夏は35°C以上の気温の高い気象条件の日に多く発生していた。
ISSN:1341-4178
2185-4335
DOI:10.11298/taiki.57.109