非乏尿性腎障害を呈した神経性やせ症患者5名の臨床経過と尿細管障害の特徴

神経性やせ症患者における急性腎障害, とりわけ非乏尿性腎障害についての報告は乏しい。非乏尿性腎障害では, 乏尿性腎不全への進行を防ぐため早期診断・介入が重要である。本報告では自験例5名を中心に検討した。全例で来院時の血清クレアチニンは基準範囲内にあったが, 尿中ナトリウム排泄分画 (FENa) や尿細管障害マーカーは高値を示していた。KDIGO分類上でも入院時に急性腎障害と診断した。入院中正の水分出納を保つよう輸液管理を行ったところ全例で乏尿性腎不全への進行を防ぐことができた。神経性やせ症患者では, 患者の正常腎機能を示す血清クレアチニンが一般的な基準範囲の下限を下回る場合があり, 腎障害の発...

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Published in日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 42; no. 2; pp. 51 - 55
Main Authors 木村, 昭夫, 小林, 憲太郎, 高橋, 叶衣, 山本, 真貴子, 松田, 航, 廣瀬, 恵佳, 植村, 樹, 渡邉, 愛乃, 佐々木, 亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本救急医学会関東地方会 31.03.2021
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ISSN0287-301X
2434-2580
DOI10.24697/jaamkanto.42.2_51

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Summary:神経性やせ症患者における急性腎障害, とりわけ非乏尿性腎障害についての報告は乏しい。非乏尿性腎障害では, 乏尿性腎不全への進行を防ぐため早期診断・介入が重要である。本報告では自験例5名を中心に検討した。全例で来院時の血清クレアチニンは基準範囲内にあったが, 尿中ナトリウム排泄分画 (FENa) や尿細管障害マーカーは高値を示していた。KDIGO分類上でも入院時に急性腎障害と診断した。入院中正の水分出納を保つよう輸液管理を行ったところ全例で乏尿性腎不全への進行を防ぐことができた。神経性やせ症患者では, 患者の正常腎機能を示す血清クレアチニンが一般的な基準範囲の下限を下回る場合があり, 腎障害の発見が遅れる可能性がある。その場合には, FENaや尿細管障害マーカーが非乏尿性腎障害の早期診断に有用となり得る。早期診断した場合には, 循環血漿量を維持する輸液管理を早期から開始することが肝要と考える。
ISSN:0287-301X
2434-2580
DOI:10.24697/jaamkanto.42.2_51