片側性副鼻腔炎の自覚症状についての検討

片側性副鼻腔炎には歯性上顎洞炎や上顎洞性後鼻孔ポリープなど多彩な病態が含まれており, それぞれの病態を反映した自覚症状が出現していると予測される。しかしこれまで片側性副鼻腔炎における自覚症状の検討を行った報告は少ない。そこで今回我々は, 手術に至った片側性副鼻腔炎の患者を対象に, 内視鏡下鼻内手術による自覚症状の改善について検討した。さらに, 片側性副鼻腔炎の原因疾患別に各種自覚症状を比較検討して報告した。対象は, 2007年4月から2008年3月までの間に東京慈恵会医科大学附属病院及び関連病院計5施設で内視鏡下鼻内手術を行った片側性副鼻腔炎患者166例とした。手術治療による改善を術前後の自覚...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 55; no. 6; pp. 434 - 439
Main Authors 吉田, 拓人, 浅香, 大也, 中山, 次久, 大櫛, 哲史, 松脇, 由典, 吉川, 衛, 飯田, 誠, 森山, 寛, 鴻, 信義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.12.2012
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Summary:片側性副鼻腔炎には歯性上顎洞炎や上顎洞性後鼻孔ポリープなど多彩な病態が含まれており, それぞれの病態を反映した自覚症状が出現していると予測される。しかしこれまで片側性副鼻腔炎における自覚症状の検討を行った報告は少ない。そこで今回我々は, 手術に至った片側性副鼻腔炎の患者を対象に, 内視鏡下鼻内手術による自覚症状の改善について検討した。さらに, 片側性副鼻腔炎の原因疾患別に各種自覚症状を比較検討して報告した。対象は, 2007年4月から2008年3月までの間に東京慈恵会医科大学附属病院及び関連病院計5施設で内視鏡下鼻内手術を行った片側性副鼻腔炎患者166例とした。手術治療による改善を術前後の自覚症状スコアおよびQOLスコアを用いて検討した結果, すべての項目で有意に改善を認め手術治療の有効性を確認できた。次に, 対象となる片側性副鼻腔炎症例を病態別に慢性副鼻腔炎群, 歯性上顎洞炎群, 副鼻腔真菌症群, 上顎洞性後鼻孔ポリープ群の4群に分類し, 病態別に術前の自覚症状について検討した。術前自覚症状の「鼻閉」において慢性副鼻腔炎群と上顎洞性後鼻孔ポリープ群では, 副鼻腔真菌症群よりも有意に高値を示した。また, 「後鼻漏」において歯性上顎洞炎群では慢性副鼻腔炎群よりも有意に高値を示した。片側性副鼻腔炎は, 原因となる疾患によって様々な自覚症状を引き起こすことがあるので, 診断治療に際しては留意が必要であると考えられた。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.55.434