長期間シナカルセトが著効を呈している高齢者原発性副甲状腺機能亢進症の1例
症例は87歳女性。甲状腺腫瘤の精査を目的に当院を受診。触診,超音波検査で右葉に一致して3cm大の充実性結節と両葉に多数のコロイド結節が認められた。血液検査では甲状腺機能は正常であったが血清カルシウムおよびPTHインタクト(I-PTH)の上昇が認められた。充実性結節の細胞診では濾胞性腫瘍もしくは腺腫様甲状腺腫の診断であった。原発性副甲状腺機能亢進症が合併していると診断し頸部CT,99mTc-MIBIシンチを行ったが副甲状腺腫瘍の局在診断は得られなかった。高齢,腎機能低下,僧帽弁閉鎖不全症のため手術療法はhigh-riskのために困難と判断。本人,家族共に手術療法の希望せず,甲状腺結節は経過観察と...
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Published in | 日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 30; no. 4; pp. 314 - 318 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
2013
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Subjects | |
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ISSN | 2186-9545 |
DOI | 10.11226/jaesjsts.30.4_314 |
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Summary: | 症例は87歳女性。甲状腺腫瘤の精査を目的に当院を受診。触診,超音波検査で右葉に一致して3cm大の充実性結節と両葉に多数のコロイド結節が認められた。血液検査では甲状腺機能は正常であったが血清カルシウムおよびPTHインタクト(I-PTH)の上昇が認められた。充実性結節の細胞診では濾胞性腫瘍もしくは腺腫様甲状腺腫の診断であった。原発性副甲状腺機能亢進症が合併していると診断し頸部CT,99mTc-MIBIシンチを行ったが副甲状腺腫瘍の局在診断は得られなかった。高齢,腎機能低下,僧帽弁閉鎖不全症のため手術療法はhigh-riskのために困難と判断。本人,家族共に手術療法の希望せず,甲状腺結節は経過観察としシナカルセトの投与を開始。カルシウムは速やかに正常化しI-PTHも徐々に低下し正常化した。投与開始後3年目の現在,シナカルセトを継続投与し血清カルシウム,I-PTHはほぼ正常値が保たれている。 |
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ISSN: | 2186-9545 |
DOI: | 10.11226/jaesjsts.30.4_314 |