ステロイド長期投与による上咽頭深部感染症が疑われた後頭顆・頸静脈孔接合部症候群 (Collet et Sicard症候群) の1例

頸静脈孔症候群は頸静脈孔を走行する脳神経の麻痺によって、特徴的な臨床症状を呈する系統的脳神経障害を示す症候群で、類縁疾患に後頭顆・頸静脈孔接合部症候群 (Collet et Sicard症候群: 舌咽、迷走、副、舌下神経麻痺) がある。原因は腫瘍、外傷、血管炎、内頸動脈解離など多岐にわたる。今回われわれは誤嚥、榎声、頭痛を主訴として当科紹介され、MRIで上咽頭病変が明らかになり、上咽頭深部感染症が原因と考えられるCollet et Sicard症候群の1例を経験した。症例は71歳男性、胸膜炎 (MPO-ANCA関連性血管炎: microscopic polyangitis) にてプレドニゾロン...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in耳鼻と臨床 Vol. 51; no. 3; pp. 183 - 188
Main Authors 白土, 秀樹, 山本, 智矢, 中島, 寅彦, 平川, 直也, 三原, 丈直, 小宗, 静男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.05.2005
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:頸静脈孔症候群は頸静脈孔を走行する脳神経の麻痺によって、特徴的な臨床症状を呈する系統的脳神経障害を示す症候群で、類縁疾患に後頭顆・頸静脈孔接合部症候群 (Collet et Sicard症候群: 舌咽、迷走、副、舌下神経麻痺) がある。原因は腫瘍、外傷、血管炎、内頸動脈解離など多岐にわたる。今回われわれは誤嚥、榎声、頭痛を主訴として当科紹介され、MRIで上咽頭病変が明らかになり、上咽頭深部感染症が原因と考えられるCollet et Sicard症候群の1例を経験した。症例は71歳男性、胸膜炎 (MPO-ANCA関連性血管炎: microscopic polyangitis) にてプレドニゾロン (PSL) 30mgを長期内服中であった。2004年3月誤嚥、嗄声、頭痛などの症状出現し、当科紹介。Collet et Sicard症候群と診断、MRIにて右頸静脈孔周囲から上咽頭におよぶ腫瘤を認めた。全麻下に生検施行。上咽頭炎の診断であったが、ステロイド長期内服中であることから深部真菌症を疑い抗真菌症薬投与開始し、臨床症状、CRPともに改善した。本症例のように膠原病にて長期間ステロイドを投与されている患者はいわゆるcompromised hostとなっており深部真菌症の可能性も疑うことが必要である。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi1954.51.3_183