副甲状腺腺腫からの出血により咽頭腫脹をきたした一例

73歳,女性。当院受診1週間前にインフルエンザに罹患した。4日前に咽頭痛が出現し,近医で咽頭後壁の腫脹を認めたために,咽後膿瘍疑いで当科紹介となった。初診時所見としては,呼吸苦や開口障害は認めなかったが,頸部腫脹・圧痛・嚥下痛を認めた。喉頭ファイバー検査では上咽頭から下咽頭にかけて後壁が全体的に腫脹し,粘膜下血腫の様な色調を認めたが,気道は開存していた。血液検査所見ではWBC:5,900/μl,CRP:5.36mg/dlであり,CTでは膿瘍を疑うような所見を認めなかった。咽後部の腫脹は血腫であると判断し,保存的加療で症状は軽快した。出血源は画像結果から甲状腺左葉の腫瘤からと判断し,待機的に腫瘤...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 35; no. 3; pp. 214 - 218
Main Authors 真栄田, 裕行, 金城, 秀俊, 又吉, 宣, 鈴木, 幹男, 安慶名, 信也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2018
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.35.3_214

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Summary:73歳,女性。当院受診1週間前にインフルエンザに罹患した。4日前に咽頭痛が出現し,近医で咽頭後壁の腫脹を認めたために,咽後膿瘍疑いで当科紹介となった。初診時所見としては,呼吸苦や開口障害は認めなかったが,頸部腫脹・圧痛・嚥下痛を認めた。喉頭ファイバー検査では上咽頭から下咽頭にかけて後壁が全体的に腫脹し,粘膜下血腫の様な色調を認めたが,気道は開存していた。血液検査所見ではWBC:5,900/μl,CRP:5.36mg/dlであり,CTでは膿瘍を疑うような所見を認めなかった。咽後部の腫脹は血腫であると判断し,保存的加療で症状は軽快した。出血源は画像結果から甲状腺左葉の腫瘤からと判断し,待機的に腫瘤を含め甲状腺左葉切除術を行った。しかし,病理結果からは副甲状腺腺腫からの出血と判明した。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.35.3_214