心臓リハビリテーションを組み込んだ急性心筋梗塞地域連携パスの試み:全国実態調査結果を踏まえた将来展望

急性心筋梗塞症(acute myocardial infarction; AMI)患者に対する回復期心臓リハビリテーション(心リハ)は,運動耐容能・生活の質(quality of life; QOL)・長期予後を改善することが示され,診療ガイドラインでも推奨されている.しかしわが国では,AMI患者の在院日数が大幅に短縮され,従来の病院滞在型心リハ実施が困難になっている一方で,退院後の外来通院型心リハの実施率は日本循環器学会認定循環器専門医研修病院においてさえ極めて低率(9%)であることが全国実態調査により報告されている.さらに最近,年間AMI入院患者数がメディアン値(35例)以下の中小病院では...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 41; no. 11; pp. 1205 - 1215
Main Authors 中西, 道郎, 大塚, 頼隆, 伊吹, 宗晃, 野々木, 宏, 野口, 輝夫, 川上, 利香, 後藤, 葉一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2009
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.41.1205

Cover

More Information
Summary:急性心筋梗塞症(acute myocardial infarction; AMI)患者に対する回復期心臓リハビリテーション(心リハ)は,運動耐容能・生活の質(quality of life; QOL)・長期予後を改善することが示され,診療ガイドラインでも推奨されている.しかしわが国では,AMI患者の在院日数が大幅に短縮され,従来の病院滞在型心リハ実施が困難になっている一方で,退院後の外来通院型心リハの実施率は日本循環器学会認定循環器専門医研修病院においてさえ極めて低率(9%)であることが全国実態調査により報告されている.さらに最近,年間AMI入院患者数がメディアン値(35例)以下の中小病院では1日5人以上の心リハ参加患者を確保することは容易ではないこと,心リハの採算性は平均値としては黒字であるものの施設間のばらつきが大きいことが明らかにされた.これらの結果を踏まえると,今後,採算を維持できる心リハ患者数の確保が困難である中小病院では,AMI地域連携パスにより既存の外来心リハ実施施設を地域で活用することが1つの解決策となると考えられる.本稿では,わが国における心リハの実態を踏まえ,われわれが取り組んでいる「心リハを組み込んだAMI地域連携パス」の試みを紹介する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.41.1205