2000–2018各年のNO2濃度に基づく横浜市での定量的健康影響評価

大気汚染濃度と健康影響の反応関係に基づいて環境中大気汚染濃度を低減目標値にまで下げることができた場合の健康に関する様々な利益を推定する健康影響評価が世界的に実施されている。しかし日本では健康影響評価の枠組みによる研究はほとんど無く、近年の汚染レベルによってどのくらいの人が影響を受けているかは分かっていない。本研究では近年のNO2濃度での長期曝露による健康影響を定量的に評価し、大気汚染対策に寄与する情報を提供することを目的に、横浜市を対象として、NO2の年平均値が20 µg/m3を達成した場合に低減可能な年間死亡者数と寄与割合を、WHO/Europeが開発したAirQ+を用いて推定した。2018...

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Published in大気環境学会誌 Vol. 57; no. 4; pp. 101 - 108
Main Authors 福﨑, 有希子, 中井, 里史, 丸山, 隆太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 大気環境学会 01.07.2022
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ISSN1341-4178
2185-4335
DOI10.11298/taiki.57.101

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Summary:大気汚染濃度と健康影響の反応関係に基づいて環境中大気汚染濃度を低減目標値にまで下げることができた場合の健康に関する様々な利益を推定する健康影響評価が世界的に実施されている。しかし日本では健康影響評価の枠組みによる研究はほとんど無く、近年の汚染レベルによってどのくらいの人が影響を受けているかは分かっていない。本研究では近年のNO2濃度での長期曝露による健康影響を定量的に評価し、大気汚染対策に寄与する情報を提供することを目的に、横浜市を対象として、NO2の年平均値が20 µg/m3を達成した場合に低減可能な年間死亡者数と寄与割合を、WHO/Europeが開発したAirQ+を用いて推定した。2018年の年平均濃度に関する検討では、横浜市全体で約1,071人の死亡を防ぐ効果が期待できると推定することができた。また、区スケールと町スケールという異なる地理的解像度での評価結果の比較を行った。今後は、検討する地域のサイズの検討や各種パラメータの整理を行うことなどを加えて、他の主要な大気汚染物質も対象として、大気汚染対策を推進し濃度を低下させた場合の定量的健康影響評価を進めることも必要となる。
ISSN:1341-4178
2185-4335
DOI:10.11298/taiki.57.101