福岡都市圏と福江島でのNH3の季節変化

福岡都市圏(3地点)と福江島で、NH3の小川式パッシブサンプラー(PS)計測を行い、濃度レベルと季節変化を調べた。福岡3地点では濃度レベルは1.5–3.5 ppb程度で、季節変化のパターンは非常に類似していた。一方、福江島のNH3レベルは福岡に対して低く、おおむね0.5–2 ppb程度であり、明瞭な季節変化が見えなかった。PSの結果をフィルターパック計測などと比較し、暖候期の濃度レベルがほぼ一致することを確認した。一方、外気温が15°Cより低下すると、NH3 PSの濃度が大きくなる傾向にあった。これはPSのポリエチレン多孔栓やフィルター表面に捕捉されたNH4NO3が再揮散して、NH4+→NH3...

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Published in大気環境学会誌 Vol. 57; no. 5; pp. 119 - 127
Main Authors 板橋, 秀一, 鵜野, 伊津志, 櫻井, 達也, 弓本, 桂也, 山村, 由貴, 中川, 修平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 大気環境学会 27.08.2022
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Summary:福岡都市圏(3地点)と福江島で、NH3の小川式パッシブサンプラー(PS)計測を行い、濃度レベルと季節変化を調べた。福岡3地点では濃度レベルは1.5–3.5 ppb程度で、季節変化のパターンは非常に類似していた。一方、福江島のNH3レベルは福岡に対して低く、おおむね0.5–2 ppb程度であり、明瞭な季節変化が見えなかった。PSの結果をフィルターパック計測などと比較し、暖候期の濃度レベルがほぼ一致することを確認した。一方、外気温が15°Cより低下すると、NH3 PSの濃度が大きくなる傾向にあった。これはPSのポリエチレン多孔栓やフィルター表面に捕捉されたNH4NO3が再揮散して、NH4+→NH3によるアーテイファクトとして作用するためと考えられた。福江では、冬季のエアロゾルの越境輸送があるときに、NH3に上昇の傾向が見えた。これは越境輸送されたNH4NO3による可能性があることを示した。
ISSN:1341-4178
2185-4335
DOI:10.11298/taiki.57.119