突発性難聴のアミドトリゾアート治療中に遅発性副作用が疑われた1例

水溶性ヨード性造影剤であるアミドトリゾアートを突発性難聴の治療で用いたところ、遅発性アレルギーと思われる症状を呈した症例を経験した。右突発性難聴を発症した61歳男性にステロイド、プロスタグランデインE1を投与したが効果は得られなかったので、アミドトリゾアート治療に切り替えた。この直後より聴力に改善がみられたため、治療を継続した。アミドトリゾアート投与開始17日目に意識混濁、肺水腫等のショック症状を呈した。対症的治療により、幸いなことに後遺症もなく回復した。当症例には脳血管障害の既往があった。脳血管障害はヨード性造影剤により副作用が出やすいことが知られている。アミドトリゾアート治療の選択は腎機能...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 49; no. 3; pp. 155 - 158
Main Authors 中条, 恭子, 中川, 尚志, 龍頭, 正浩, 貫名, 麻紀, 小宮山, 荘太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.05.2003
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Summary:水溶性ヨード性造影剤であるアミドトリゾアートを突発性難聴の治療で用いたところ、遅発性アレルギーと思われる症状を呈した症例を経験した。右突発性難聴を発症した61歳男性にステロイド、プロスタグランデインE1を投与したが効果は得られなかったので、アミドトリゾアート治療に切り替えた。この直後より聴力に改善がみられたため、治療を継続した。アミドトリゾアート投与開始17日目に意識混濁、肺水腫等のショック症状を呈した。対症的治療により、幸いなことに後遺症もなく回復した。当症例には脳血管障害の既往があった。脳血管障害はヨード性造影剤により副作用が出やすいことが知られている。アミドトリゾアート治療の選択は腎機能障害のある糖尿病患者や脳疾患の既往のある症例に対して慎重に行わなければならないと考えた。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi1954.49.3_155