排出量の時間変動・月変動・COVID-19パンデミック時の変動を評価するための活動量の周期変動解析

大気汚染物質の排出量の時間変動と月変動を大気質モデルに入力できる形式で抽出するため、排出量に関する活動量を重回帰分析と周期変動解析に適用した。また、解析した結果を用いてCOVID-19パンデミック時の経済活動の制限に伴う活動量の減少量の評価を行った。使用した活動量は、火力発電量、固定燃焼発生源のエネルギー消費量、自動車の走行距離とした。活動量の時間変動の係数は9時から18時にかけて、曜日変動係数は火曜日から金曜日にかけて大きい傾向が見られた。月変動係数は火力発電量、エネルギー消費量、走行距離の順に、5、10月、5、6月、2月に低く、12月と1月に高い傾向が見られた。COVID-19パンデミック...

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Published in大気環境学会誌 Vol. 58; no. 6; pp. 87 - 98
Main Authors 北山, 響, 茶谷, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 大気環境学会 13.10.2023
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Summary:大気汚染物質の排出量の時間変動と月変動を大気質モデルに入力できる形式で抽出するため、排出量に関する活動量を重回帰分析と周期変動解析に適用した。また、解析した結果を用いてCOVID-19パンデミック時の経済活動の制限に伴う活動量の減少量の評価を行った。使用した活動量は、火力発電量、固定燃焼発生源のエネルギー消費量、自動車の走行距離とした。活動量の時間変動の係数は9時から18時にかけて、曜日変動係数は火曜日から金曜日にかけて大きい傾向が見られた。月変動係数は火力発電量、エネルギー消費量、走行距離の順に、5、10月、5、6月、2月に低く、12月と1月に高い傾向が見られた。COVID-19パンデミック時の変動については、三種の活動量とも、緊急事態宣言時に大きい減少が見られ、最初の緊急事態宣言の2020年4、5月で明確であった。2019年に対する2020年の年間減少量は、火力発電量、エネルギー消費量、走行距離の順に−1.5、−10、−8.0%であり、4、5月のみの減少量は−9.0、−13、−18%であった。大気中のNOx、PM2.5濃度観測値地点平均値の減少量は、年間値でそれぞれ−6.8、−7.5%であり、4、5月で−13、−11%であった。COVID-19パンデミック時の行動制限により活動量が減少し、それに伴いNOx、PM2.5排出量と大気中濃度が減少していることが示唆された。
ISSN:1341-4178
2185-4335
DOI:10.11298/taiki.58.87