神奈川県におけるPM2.5に含まれるタンパク質の定量

生物に由来する成分の寄与を確認するため、PM2.5中のタンパク質について神奈川県内の都市部と山岳部で季節ごとに採取した試料をマイクロBCAタンパク質アッセイに供することで定量を行った。その結果、都市部と山岳部の両方の試料にタンパク質が一定量含まれていることが確認された。また、PM2.5中のタンパク質濃度は日間変動が確認され、春季および夏季においては都市部と山岳部は同様の日間変動が認められたが、秋季および冬季においては異なる日間変動を示し、また、山岳部より都市部の濃度が高い傾向であった。PM2.5の質量濃度に対するタンパク質濃度の寄与割合を求めたところ、平均で2割前後であることが明らかとなった。...

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Published in大気環境学会誌 Vol. 59; no. 2; pp. 30 - 37
Main Authors 石割, 隼人, 武田, 麻由子, 代田, 寧, 長谷部, 勇太, 朝倉, 純, 小松, 宏昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 大気環境学会 22.02.2024
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Summary:生物に由来する成分の寄与を確認するため、PM2.5中のタンパク質について神奈川県内の都市部と山岳部で季節ごとに採取した試料をマイクロBCAタンパク質アッセイに供することで定量を行った。その結果、都市部と山岳部の両方の試料にタンパク質が一定量含まれていることが確認された。また、PM2.5中のタンパク質濃度は日間変動が確認され、春季および夏季においては都市部と山岳部は同様の日間変動が認められたが、秋季および冬季においては異なる日間変動を示し、また、山岳部より都市部の濃度が高い傾向であった。PM2.5の質量濃度に対するタンパク質濃度の寄与割合を求めたところ、平均で2割前後であることが明らかとなった。さらに、PM2.5中のタンパク質濃度と有機炭素成分および水溶性有機炭素成分濃度の相関が、採取地点や採取時期によらず常に高い傾向であった。なお、一般的なタンパク質であるウシ血清アルブミンを用いて有機炭素分析および水溶性有機炭素分析を行ったところ、それぞれ定量的な応答が認められたことから、これまでPM2.5中に有機炭素成分や水溶性有機炭素成分として検出されたものの中にタンパク質に由来するものが相当量存在していることが示唆された。今後、PM2.5にタンパク質のような生物由来である成分が含まれていることを前提に調査・研究を行っていく必要性・重要性が示された。
ISSN:1341-4178
2185-4335
DOI:10.11298/taiki.59.30