再発甲状腺癌におけるFDG-PETの臨床的意義

FDG-PET検査は、増殖速度が遅い腫瘍や、細胞の分化度が高い腫瘍や、細胞密度の低い腫瘍などでは偽陰性になりやすく、逆に甲状腺良性疾患で偽陽性になることがあることから、甲状腺分化癌においてはその応用法が研究課題となっている。文献的には未治療甲状腺分化癌症例でのFDG-PET検査での良悪性度判定の意義は低いとされている。一方で、甲状腺全摘後ヨード治療後の再発性甲状腺分化癌症例で、I-131で集積を認めないが、 Tg (サイログロブリン) 値が高値を示す場合、高率にFDGが再発部位に集積する傾向にあり、このような症例においては、FDG-PETは転移巣評価に有効であると報告されている。今回、FDG-...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 54; no. 6; pp. 308 - 313
Main Authors 小宗, 静男, 菊池, 奈美, 宮地, 英彰, 中島, 寅彦, 星井, 嘉信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.11.2008
Subjects
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ISSN0447-7227
2185-1034
DOI10.11334/jibi1954.54.6_308

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Summary:FDG-PET検査は、増殖速度が遅い腫瘍や、細胞の分化度が高い腫瘍や、細胞密度の低い腫瘍などでは偽陰性になりやすく、逆に甲状腺良性疾患で偽陽性になることがあることから、甲状腺分化癌においてはその応用法が研究課題となっている。文献的には未治療甲状腺分化癌症例でのFDG-PET検査での良悪性度判定の意義は低いとされている。一方で、甲状腺全摘後ヨード治療後の再発性甲状腺分化癌症例で、I-131で集積を認めないが、 Tg (サイログロブリン) 値が高値を示す場合、高率にFDGが再発部位に集積する傾向にあり、このような症例においては、FDG-PETは転移巣評価に有効であると報告されている。今回、FDG-PET陽性となった甲状腺全摘後ヨード治療後の再発性甲状腺乳頭癌1例を経験し、術前にFDG-PET検査を施行した未治療甲状腺分化癌の自験例3例を含む4例について検討を行った。4症例とも病理学的にはすべて高分化癌であり、細胞密度にも特徴的な差異は認めなかった。未治療甲状腺分化癌3例においてはFDGの集積を認めなかったが、Tg値が高値を示す再発性甲状腺乳頭癌1例において、FDG-PET検査は転移巣評価に有用であった。諸家の報告と同様に、甲状腺全摘後ヨード治療後に1-131の集積を認めないが、Tg値が上昇している症例においては、FDG-PET検査が有用であると思われた。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi1954.54.6_308