透析導入しレンバチニブ治療を行った甲状腺未分化癌の一例

症例は60歳代の男性,頸部に限局した甲状腺未分化癌に対し,手術と術後化学放射線治療を行ったが,術後半年で多発肺転移が明らかとなった。レンバチニブの短期の投与で効果がみられたが,慢性腎不全のため継続できなかった。本人,腎臓内科医らとの協議の上,透析導入後にレンバチニブを再導入した。休薬をはさみつつも内服が継続できている間は,腫瘍増大は抑制されていたが,副作用のため長く休薬すると増大した。肺転移出現後21カ月,透析導入後17カ月にわたり生存し,維持透析には全て自力で通った。レンバチニブの副作用として,透析導入前は蛋白尿,低蛋白血症,腎機能低下,透析導入後は,疲労感,嚥下困難感,体重減少が主であった...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 35; no. 4; pp. 294 - 298
Main Authors 山本, 佳史, 青木, 健剛, 北村, 貴裕, 嶋田, 琢磨, 宇野, 敦彦, 浜口, 寛子, 野澤, 眞祐
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2018
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.35.4_294

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Summary:症例は60歳代の男性,頸部に限局した甲状腺未分化癌に対し,手術と術後化学放射線治療を行ったが,術後半年で多発肺転移が明らかとなった。レンバチニブの短期の投与で効果がみられたが,慢性腎不全のため継続できなかった。本人,腎臓内科医らとの協議の上,透析導入後にレンバチニブを再導入した。休薬をはさみつつも内服が継続できている間は,腫瘍増大は抑制されていたが,副作用のため長く休薬すると増大した。肺転移出現後21カ月,透析導入後17カ月にわたり生存し,維持透析には全て自力で通った。レンバチニブの副作用として,透析導入前は蛋白尿,低蛋白血症,腎機能低下,透析導入後は,疲労感,嚥下困難感,体重減少が主であった。腎機能障害のある患者に,抗腫瘍効果は期待できるが腎毒性のある薬剤をどのように使用するかは画一的でない。本症例は透析導入後のレンバチニブ治療が効果的であったと考えた。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.35.4_294