保存的治療の末に腹腔鏡下副腎摘除術を施行した特発性副腎出血の1例

症例は24歳女性。誘因なく右季肋部痛を自覚し,当院を受診した。CT検査で右副腎に75mm大の腫瘤性病変を認め,腫瘍内出血の疑いもあり入院精査を行った。副腎内分泌機能検査で異常所見は認めなかった。原因不明の副腎出血と診断し,全身状態は安定していたために保存的治療を行った。3カ月後のCT検査で血腫は40mmに縮小したが,腫瘍性病変の存在が否定できず,また再出血の可能性も考慮し,4カ月後に腹腔鏡下右副腎摘除術を施行した。摘出標本は副腎出血で矛盾はなかったが,原因となる所見は認めず,最終的に特発性副腎出血と診断した。特発性副腎出血は稀な疾患であり,腫瘍性病変の有無の鑑別が困難とされる。今回,保存的治療...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 32; no. 3; pp. 196 - 200
Main Authors 柴田, 有宏, 稲石, 貴弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2015
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.32.3_196

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Summary:症例は24歳女性。誘因なく右季肋部痛を自覚し,当院を受診した。CT検査で右副腎に75mm大の腫瘤性病変を認め,腫瘍内出血の疑いもあり入院精査を行った。副腎内分泌機能検査で異常所見は認めなかった。原因不明の副腎出血と診断し,全身状態は安定していたために保存的治療を行った。3カ月後のCT検査で血腫は40mmに縮小したが,腫瘍性病変の存在が否定できず,また再出血の可能性も考慮し,4カ月後に腹腔鏡下右副腎摘除術を施行した。摘出標本は副腎出血で矛盾はなかったが,原因となる所見は認めず,最終的に特発性副腎出血と診断した。特発性副腎出血は稀な疾患であり,腫瘍性病変の有無の鑑別が困難とされる。今回,保存的治療の末に腹腔鏡下で摘除した特発性副腎出血の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.32.3_196