診断が困難であった歯原性疾患

診断が困難であつた歯原性疾患3例の報告を中心にして, 耳鼻咽喉科診療における歯原性疾患の診断について検討してみた. 1症例目は智歯周囲炎であつたが, 糖尿病を合併し, 感染が周囲に波及し耳下腺部におよび, 初期診断は急性耳下腺炎として治療したため治療に難渋した. 2症例目は歯根嚢胞であったが, 鼻前庭部の圧痛と腫脹が前面に出たため鼻前庭嚢胞として手術を施行した. 3症例目は下顎腐骨が原因となった外歯瘻であり, 初期の段階では感染粉瘤として摘出手術をしたが, 根治せず追加切除した. これら以外にも診断に困難をきたした症例が8例有るが嚢胞性疾患が多かった. これら歯原性疾患の診断には, 注意深い視...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 42; no. 4; pp. 358 - 363
Main Authors 小川, 晃弘, 中島, 智子, 岩田, 雅裕, 三浦, 基志, 西岡, 慶子, 木村, 宣彦, 角南, 次郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.07.1996
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ISSN0447-7227
2185-1034
DOI10.11334/jibi1954.42.4_358

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Summary:診断が困難であつた歯原性疾患3例の報告を中心にして, 耳鼻咽喉科診療における歯原性疾患の診断について検討してみた. 1症例目は智歯周囲炎であつたが, 糖尿病を合併し, 感染が周囲に波及し耳下腺部におよび, 初期診断は急性耳下腺炎として治療したため治療に難渋した. 2症例目は歯根嚢胞であったが, 鼻前庭部の圧痛と腫脹が前面に出たため鼻前庭嚢胞として手術を施行した. 3症例目は下顎腐骨が原因となった外歯瘻であり, 初期の段階では感染粉瘤として摘出手術をしたが, 根治せず追加切除した. これら以外にも診断に困難をきたした症例が8例有るが嚢胞性疾患が多かった. これら歯原性疾患の診断には, 注意深い視診とパントモグラムなどでの検討が不可欠である.
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi1954.42.4_358