西洋薬治療に抵抗性を示し釣藤散が著効した頻回の一過性脳虚血発作の1例

釣藤散が有効であった難治性一過性脳虚血発作(TIA)の1症例を報告する。64歳女性。主訴は繰り返す右片麻痺,構音障害発作。23ヵ月前に右片麻痺,構音障害が出現し,MRI で左内包後脚の脳梗塞を指摘され加療されたが,後遺症はなかった。4ヵ月前から週に3~4回,40~50分持続する右片麻痺,構音障害発作が出現し,TIA と診断され入院,直接トロンビン阻害剤,抗血小板薬2剤併用療法,スタチン,カルシウム拮抗剤,ベンゾジアゼピンを含む治療を4ヵ月継続したが改善せず,発作が持続するまま当院紹介となった。強い不安感や発作時の眩暈を伴い釣藤散7.5g の内服を開始した。1週間で発作頻度は減少したが,自己中断...

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Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 68; no. 4; pp. 345 - 351
Main Authors 澤井, 一智, 山崎, 武俊, 峯, 尚志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 2017
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ISSN0287-4857
1882-756X
DOI10.3937/kampomed.68.345

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Summary:釣藤散が有効であった難治性一過性脳虚血発作(TIA)の1症例を報告する。64歳女性。主訴は繰り返す右片麻痺,構音障害発作。23ヵ月前に右片麻痺,構音障害が出現し,MRI で左内包後脚の脳梗塞を指摘され加療されたが,後遺症はなかった。4ヵ月前から週に3~4回,40~50分持続する右片麻痺,構音障害発作が出現し,TIA と診断され入院,直接トロンビン阻害剤,抗血小板薬2剤併用療法,スタチン,カルシウム拮抗剤,ベンゾジアゼピンを含む治療を4ヵ月継続したが改善せず,発作が持続するまま当院紹介となった。強い不安感や発作時の眩暈を伴い釣藤散7.5g の内服を開始した。1週間で発作頻度は減少したが,自己中断で再び増悪した。釣藤散再開3ヵ月で発作は完全に消失し,再投与17ヵ月後の現在まで発作は14ヵ月認めていない。釣藤散は現代医学的研究でも脳血管疾患への効果が示されており,治療抵抗性のTIA に有効な治療薬と示唆された。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.68.345