中年女性を中心とした明確な診断がつかない手指痛の東洋医学的特徴と漢方治療

手指痛に対して西洋医学的検査を施行した結果,関節リウマチなどの確定診断がつかない症例が一部に存在し未分化関節炎と称される。そのような症例に対する漢方エキス剤による治療成績を報告する。対象は62症例(男性5名,女性57名,平均年齢49.7歳)であった。手指痛症例は寒証の傾向が強く,気血水では瘀血や気鬱と判断された症例が多かった。有効群は29症例(47%),軽度有効群は10症例(16%),無効群は23症例(37%)であった。最も多く使われた方剤は加味逍遥散(30症例)であった。多くの症例で複数の漢方エキス剤を併用で用いており,加味逍遥散と桂枝加苓朮附湯の併用は9症例あり,そのうち8症例が有効だった...

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Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 70; no. 3; pp. 240 - 246
Main Authors 宮西, 圭太, 平田, 道彦, 織部, 和宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 2019
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ISSN0287-4857
1882-756X
DOI10.3937/kampomed.70.240

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Summary:手指痛に対して西洋医学的検査を施行した結果,関節リウマチなどの確定診断がつかない症例が一部に存在し未分化関節炎と称される。そのような症例に対する漢方エキス剤による治療成績を報告する。対象は62症例(男性5名,女性57名,平均年齢49.7歳)であった。手指痛症例は寒証の傾向が強く,気血水では瘀血や気鬱と判断された症例が多かった。有効群は29症例(47%),軽度有効群は10症例(16%),無効群は23症例(37%)であった。最も多く使われた方剤は加味逍遥散(30症例)であった。多くの症例で複数の漢方エキス剤を併用で用いており,加味逍遥散と桂枝加苓朮附湯の併用は9症例あり,そのうち8症例が有効だった(有効率89%)。明確な診断がつかない手指痛の漢方治療では,寒証,瘀血,気鬱の傾向が強く,散寒祛湿の効能をもつ方剤や駆瘀血剤・理気剤で対応した症例が多かった。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.70.240