術前にNIFTPを予想した甲状腺腫瘍の一例
Noninvasive follicular thyroid neoplasm with papillary-like nuclear features(NIFTP)は2017年WHO分類に記載された甲状腺腫瘍の新しい疾患概念で,従来乳頭癌に分類されていた浸潤のない被包型乳頭癌,濾胞亜型をNIFTPと命名し境界悪性と位置づけた。今回術前のコア針生検,甲状腺超音波検査よりNIFTPの可能性を考え切除範囲を考慮し手術をおこなった1例を経験した。症例は66歳女性。超音波検査にて左葉に20mmの境界明瞭な低エコー結節を認めた。穿刺吸引細胞診は乳頭癌疑い,コア針生検は濾胞型乳頭癌であった。右葉には超音波...
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Published in | 日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 35; no. 3; pp. 208 - 213 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
2018
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Subjects | |
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ISSN | 2186-9545 |
DOI | 10.11226/jaesjsts.35.3_208 |
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Summary: | Noninvasive follicular thyroid neoplasm with papillary-like nuclear features(NIFTP)は2017年WHO分類に記載された甲状腺腫瘍の新しい疾患概念で,従来乳頭癌に分類されていた浸潤のない被包型乳頭癌,濾胞亜型をNIFTPと命名し境界悪性と位置づけた。今回術前のコア針生検,甲状腺超音波検査よりNIFTPの可能性を考え切除範囲を考慮し手術をおこなった1例を経験した。症例は66歳女性。超音波検査にて左葉に20mmの境界明瞭な低エコー結節を認めた。穿刺吸引細胞診は乳頭癌疑い,コア針生検は濾胞型乳頭癌であった。右葉には超音波検査,細胞診の結果より微小乳頭癌と思われる4mmの結節を認めた。左葉はNIFTPである可能性も考え,手術は診断と治療を兼ねて左葉切除のみおこない,右葉はactive surveillanceとした。左葉の術後病理診断はNIFTPであった。超音波検査上,良性を疑う被包化された結節において穿刺吸引細胞診で乳頭癌を疑う結果であった場合にはコア針生検をおこなうことで,ある程度診断の絞り込みが可能となり,方針決定の助けとなる。 |
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ISSN: | 2186-9545 |
DOI: | 10.11226/jaesjsts.35.3_208 |